人気ブランド企業が打ち出す月餅の味の最大の特徴は、ブランドと何らかの関連があるということだ。お茶・飲料品の人気ブランドは店舗で人気のチーズクリーム茶とシンクロするチーズカスタード月餅を打ち出した。音楽レストランで売っている月餅には、音符やギターのイラストなどが入っている。
中国食品産業のアナリスト・朱丹蓬さんは、「多くのブランドが業界の枠を超えて月餅を手がけるようになったが、基本的に各ブランドの狙いは月餅とは別のところにあり、月餅を通じて次世代の消費者とロイヤリティの高い関係性を構築することこそが目的だ。市場に出回る人気ブランドの特徴を備えた月餅は、主に月餅という媒介役を通じて、ブランドを全体として消費者の日常のシーンにたびたび登場させ、認知度を高めることが狙いだ。だが実際にどれほどの効果があるかは、ブランドの運営状況を見なければならない」と話す。
▽老舗の月餅は創造性・変化を追求
月餅の新規参入組はますます増え、競争もますます激しくなってきたが、老舗の月餅は販売チャンネルの多さで引き続き優位に立っている。商店やスーパーを独占し、ECプラットフォームでも力を発揮し、口コミの評判も、ブランド力も高く、多くの消費者が真っ先に選ぶのはやはり老舗の商品だ。
これと同時に、老舗の月餅は常に変化を求めてもいる。広州酒家は今年、新小売への参入に力を入れ、ECプラットフォームで紅包(お年玉)プレゼントや一定額を購入すると割引きするサービスなどを打ち出す。また名シェフとコラボレーションした数量限定の手作り月餅も打ち出している。
若い消費者を引き寄せるため、香港地区の老舗・元朗栄華は新製品のパッケージに工夫を凝らし、90後(1990年代生まれ)や00後(2000年代生まれ)が好む「カワイイ」アニメキャラクターをモチーフに採用した。
だが伝統文化、新たな要素、新たな知的所有権(IP)との融合は、老舗レストランの専売特許ではない。ピザハットは今年、故宮博物院と提携して宮廷モチーフの「芝心踏月」月餅を打ち出した。広東省東莞市の永正書城は文化的創造性にあふれた月餅を打ち出し、現地の文化を月餅のパッケージに落とし込んだ。
アナリストの林岳氏は、「月餅は短期的な祝日向け商品であり、販売のポイントはデザイン、コンセプト、商品そのものの味にある。そこで創意工夫が最も重要であり、パッケージや月餅の外観に十分な訴求力があれば、業績は自ずと上がる。老舗の月餅は中高年層の市場だけに依存してはならず、伝統文化を継承すると同時に、積極的にイノベーションを進め、味、材料、月餅の外観デザイン、パッケージなどで、自社ブランドの影響力を利用しつつ、人気と特徴を備えた新しい商品を打ち出していかなければならない」と述べる。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年9月21日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn