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AI時代の外国語教育 その苦悩と模索(一)

人民網日本語版 2018年12月12日09:55

人民網ではこのほど、「AI時代の外国語教育 その苦悩と模索」をテーマとする小野寺健氏による連載をスタート。小野寺健氏は特定非営利活動法人日中友好市民倶楽部の理事長を務めるほか、長年にわたり数多くの中国の大学で日本に関する教育指導を行い、「淮安市5.1労働栄誉賞」や「第二回野村AWARD」、「中国日語教育特別感謝賞」などを受賞しているほか、人民日報海外版では「中日友好民間大使」として紹介されている。

 

第一章 はじめに

先の見えない不確実性の時代だと言われている。

しかし、視界が遮られているのは、未来が不確定だからではなく、目を凝らせば見える未来に、目を背けているか、先送りにして、その対策に、本気で取り組んでいないからではないだろうか。そして、この様な行動パターンが生じるのは、過去の成功体験に安住をして、変化をしなければならないのに、現状に止まってしまう「現状維持バイアス=歪み」が働いているからだ。

吉田兼好は、「徒然草」の中で「月満ちては欠け、物盛にしては衰ふ」としており、盛者必衰は世の習いなので、強く戒めたいものだ。

しかし悩み苦しんでいるのは、自分で選ぼうとしているからであり、自分の頭で考えている人のみが得られる「勲章」との言葉に勇気づけられて、このほど連載に踏み切った。

また、選択に迷った時は、転機が訪れたと解釈をして、未知の世界に踏み出すか、轟々たる非難の中でも、新たな試みに着手するのが、私の流儀と言える。そして、成功した改革は、万人の支持を得られたものではなく、懐疑や反対の怒涛を撥ね退けた果敢な行動により、成し遂げられているといえる。

そこで、本連載に於いては、社会の動きと大学教育を複眼的に俯瞰しながら、新たな行動を促すには、インセンティブが重要であり、重い腰を上げさせるには、「ナッジ」が必要なので、拙文の連載が、インセンティブを開示して、幾分なりとも「ナッジ」の役割を担えればと考えている。

北宋の詩人欧陽脩は、良い考えの生まれ易い環境について、「馬上、枕上、厠上(乗り物に乗っている時、布団で休んでいる時、便所の中)」としている。また文章上達の秘訣として、「看多、做多、商量多(多くの本を読むこと、多く文を作ること、多く工夫し推敲すること)」の三多を諭している。しかし、怠惰を重ねた駄馬故に、理想とは程遠い内容となっていることについては、識者の批判を甘受する心構えだ。

また、「分裂して争う家は、立っていることが出来ない」というリンカーンの言葉もあるため、読者諸賢の叡智も結集しながら、遮る霧を取り払い、外国語学習の意義と愉しさを喚起する議論を展開していく。


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