日常生活にも浸透する二次元文化
調査会社・艾瑞諮詢(iResearch)の統計によると、2017年、中国の二次元ユーザーは3億4000万人で、そのうちコアユーザーは9100万人に達するとしている。二次元ユーザーのうち、1990年‐2000年に生まれた人が78%を占めている。
1990年代に海外のアニメが中国で紹介され始めると、80後がまず初めに二次元文化の影響を受けた世代となった。その後、インターネット文化が普及し、中国国産アニメが台頭するようになり、二次元作品はいっそうバラエティーさを増し、さらに広く発信され、90後や00後の二次元ユーザーが急速に増加した。インターネット、特にモバイルインターネットの普及を背景に、二次元ユーザーが急増すると同時に、ネットを通してグループが作られるようにもなった。また、誰でも作品を作成して投稿したり、コメントを寄せたり、動画に弾幕コメントを投稿したりできるようになった。そしてこうした新たな発信や交流スタイルが二次元の新たな特徴となっている。
「漫画イベントで漫画を買うほか、今はほとんどネット上でアニメの最新回を見ている。 bilibili の有料会員にもなっている。steam上の一部のゲームもお金を使わなければならない」と話す馮朋さんは、二次元関連に年間約1000元(1元は約16.38円)を使っているという。
今年上半期、中国ではピンクの子ブタが大人気となった。それは、英国のテレビアニメ「ペッパピッグ」の主人公・ペッパピッグで、中国では昨年からネットユーザーの間で話題となっていた。ペッパピッグは5歳の女の子であるものの、その性格の良さと、まるで大人のような落ち着き払った人との接し方などが話題となった。そして、SNS上でペッパピッグのスタンプが大人気となり、動画サイトでは、ネットユーザーのオリジナル動画やいたずら動画などが話題のトップに躍り出た。 あるネットユーザーは微博(ウェイボー)に、「今は生活や仕事のリズムが速すぎて、子供のようにシンプルに物事を考えたり、自分の思っていることをストレートに表現したりするというのが、『ぜいたく品』のような存在になっている。まだまだ子供のような『社会人』なので、もっとシンプルに生きたい」と書き込んでいる。
ペッパピッグのような二次元キャラクターが今、どんどん「三次元」の現実の世界に進出している。文化産業の分野を見ると、映画や音楽、バラエティーなどの産業との融合を深化させることで、二次元と伝統の主流文化の融合が常態化しつつある。今年の夏、中国の漫画「快把我哥帯走(Take my brother away)」が実写版として映画化された。そして、「快把我哥帯走」のファンだけでなく、一般の人々の間でも人気になり、二次元作品が「三次元」市場に進出した。
陳主任は、「二次元文化が引き続き発展し、ニーズが高まり続けるにつれ、二次元文化が主流文化に溶け込むというのが当然の流れとなる。現実の生活の中に登場する二次元文化の要素が増加しているが、それは、二次元文化が既存の文化に取って代わるということではない。二次元の主流化は、認められ尊重されることを求めているに過ぎない。これは、多くの若者に愛されている文化で、今の時代や若者の考え方を反映している」との見方を示す。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年12月12日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn