中国版「ファンタビ」?「故宮のなかの博物学」発行

人民網日本語版 2019年07月24日13:16
中国版「ファンタビ」?「故宮のなかの博物学」発行
「故宮のなかの博物学」全3冊の表紙(提供・故宮出版社)。

中国版「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」と称される新刊「故宮のなかの博物学」が22日、故宮で初公開された。同書の位置づけは、故宮という中華文化の宝庫に根差した広範な博物学知識のテキストだ。人民網が各社の報道をまとめて伝えた。

同書は3冊に分かれており、「故宮のなかの博物学:子供たちのための清宮獣譜」、「故宮のなかの博物学:子供たちのための清宮鳥譜」、「故宮のなかの博物学:子供たちのための清宮海錯図(「海錯」は海の様々な生き物)」があり、それぞれ故宮博物院所蔵の「清宮獣譜」、「清宮鳥譜」、「清宮海錯図」を原本としている。今回出版される書籍では、原本から陸、空、水生の不思議な動物120種類を厳選し、現代博物学的な探究方法で人文科学の分野を越えて、文学や芸術、動物、地理、自然、民俗、歴史などの面から、不思議な動物の妙趣にあふれた物語を記している。子供たちの視野を広げ、好奇心を十分に満足させると同時に、自然科学と中華文化の知識を一体化した形で理解できるようになっている。

専門家は、同書の原本は最も詳細かつ的確で最も権威ある博物図誌であり、対外的に公開されることはほとんどなかったと説明している。乾隆帝は重鎮級の宮廷画家だった余省と張為邦の2人に自ら作成を命じ、十数年かけて「鳥譜」と「獣譜」を描かせた。この2冊の書物における動物の解説文はすべて乾隆帝時代の「八大臣」が協力して完成させたものだ。「鳥譜」は中国の古代においてページ数が最も多い彩色細密花鳥画集で、「獣譜」は獣類を対象にして描かれた図鑑であり、清代の宮廷絵画においてほかに例を見ない。

「海錯図」は康熙年間に民間の博物愛好家として有名だった聶璜が数十年かけて全国各地の河川や海、湖沼をめぐり、実地調査を積み重ねて描いたものだ。同書はかつて民間に埋もれていたが、後に大宦官の蘇培盛によって宮廷内に持ち込まれ、皇帝に献上された。乾隆帝は帝位を継いだ後、この画集を再び補修・表装し、紫禁城内の重要な居所であった重華宮内に置いて、よく眺めていたという。

「鳥譜」、「獣譜」、「海錯図」は当時、最も詳細かつ的確で、最も権威性のある博物図誌だった。皇室が様々な物の種類、名称、生理的特徴、生息環境といった科学知識を学び、理解するのに役立ち、皇室の子弟が動物に関する知識を学ぶ重要な啓蒙書となった。

今回の「再版」に際して、故宮は120種類の動物を厳選し、子供たちが調べたり識別したりしやすいように、どの動物にもオリジナルの「情報カード」を作り、古い絵画に描かれている元の名前、現代名、ラテン名、動物の写真、その習性、生息環境や能力を記載している。

故宮博物院の王旭東院長は、「博物館は人類文明を守り、継承する重要な殿堂。故宮博物院は世界的博物館と中華文明の集大成的存在として、伝統文化を青少年に伝えていく責任と義務がある。青少年教育は故宮博物院の事業重点であり、故宮博物院は一貫して青少年の特性に合った教育形式を模索してきた。『故宮のなかの博物学』はまさに子供たち向けの博物学読み物。この本が『架け橋』の役割を果たし、より多くの子供たちがこの本を通じて故宮に興味を持ち、故宮を好きになり、優秀な中国伝統文化を愛するようになることを願っている」と語った。(編集AK)

「人民網日本語版」2019年7月24日

 

  1 2 3 次ページ

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング