中国国産アニメ「ナーザ 魔童降世」が夏の映画シーンを熱くする!

人民網日本語版 2019年07月30日08:33

中国国産アニメ映画「哪吒之魔童降世(ナーザ 魔童降世)」が今年の夏一番の評判の映画になると誰が想像しただろうか?特にナーザのキャラクターデザインは好感の持てない要素が満載だ。目鼻立ちが悪くて醜く、背が低くてぽっちゃり体型、歯並びは不ぞろい(しかもすきっ歯)な様子は「一言では言い尽くしがたい」。身振りにも才気が感じられず、浮ついていて荒っぽい。一番目障りなのはパンダメイクをしたかのような「死んだ魚のようなうつろな目」だろう。すっかり気が抜けた表情で、カッコよくないだけでなく、言うまでもなく可愛らしさなど感じられない。しかし、良い作品にはやはり自然と高い評価が寄せられるもので、観客は次々と「飛び上がるくらいスゴい!」と絶賛している。

実際、古典的な物語に対する大胆な改編から細かな部分の奇想天外なアイデアまで、そして製作チームの2年にわたる丹念な作業、さらには監督自身の「医学を捨てて文化産業に従事」し17年間アニメに取り組むという人生のレールから逸れた「反骨精神」に至るまで、「ナーザ 魔童降世」は作品そのものも、そして製作裏話も、「自分の運命は自分で決める」というテーマを体現するものとなっている。

思いのこめられたリメーク

近年の国産アニメはほとんどが中国伝統文化の焼き直しだ。以前公開された「西遊記之大聖帰来(西遊記 ヒーロー・イズ・バック)」は「西遊記」から生まれたものだし、今年初めのアニメ「白蛇:縁起」は「白蛇伝」の前日譚を描いたものだ。「ナーザ 魔童降世」も例外ではない。

「ナーザ 魔童降世」も「封神演義」の物語の枠組みから離れてはいない。ナーザは頑迷かつ無知で、おごり高ぶった浮ついた心を持ち、騒ぎを引き起こして世の中を混乱させる魔童から、天に逆らって運命を変え、世を救うヒーローへと変わっていく。しかしその一方で、製作チームは伝統に「背いて」、人物関係と人間ドラマに改編を加え、ひいては概念を全く覆すようなアレンジを施した。そのうち父親である李靖に対する改編が特に見事だ。これまでのテレビ・映画作品のうち、この大将軍は往々にして記号化された、存在感のない、頑固な人々の代表だった。しかし「ナーザ 魔童降世」では、観客は李靖に父親としての深い愛を感じることができる。李靖はナーザを信じるだけでなく、息子のために自尊心まで捨てているからだ。そして作品のラストで繰り広げられる父と子のシーンは観客の涙を誘っている。

ナーザは海で大暴れもせず、肉を削って母に返上もしない代わりに、「天に逆らい運命を変える」不撓不屈な人物として描かれている。ここが今の若者にとってグッとくるポイントになった。生まれながらにして妖怪だったナーザは小さいころから人に先入観を持って見られ、いじめられながらも、人から受け入れられることを渇望してきた。表面的には強い個性を持った変わり者でも、その実、内心では非常に孤独だった。ナーザは生身の人間の感情を持った活き活きとした存在として描かれ、時として映画を見る者に人生で悩む自分とひどく似通っていると感じさせる。

ナーザのほか、本来なら高圧的で残酷な西海竜王の太子・敖丙もすっかり穏やかなやさしいキャラクターになり、見た目は麗しく、感情も細やかになり、より優柔不断な性格になっている。ナーザとは正反対のキャラで、鮮やかなコントラストを見せるこのキャラの組み合わせは観客から最も好まれた。

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