中国科学院高能物理研究所の科学者は「慧眼」衛星を使い、X線パルサーナビゲーションの実証実験を行った。測位の制度は10キロ以内で、宇宙船がパルサーを利用し自主ナビゲーションを行う可能性を検証した。将来的に深宇宙探査及び星間航行に応用される見通しだ。関連論文は21日、学術誌「アストロフィジカルジャーナル」(増刊)に掲載されている。新華社が伝えた。
遠い太陽系外に向かう宇宙船が増えるに伴い、人工衛星のナビシステムでは役に立たない。地上大型無線アンテナによる深宇宙測定・制御ネットワークでも次第に使い物にならなくなってきた。宇宙船の自主ナビゲーション技術の研究が必要になっている。
「慧眼」衛星パルサーナビゲーション実証実験の責任者である鄭世界氏によると、X線パルサーナビゲーションは宇宙の遠い天体、パルサーが発する正確な周期的パルス信号を利用し、宇宙船にナビゲーションと時報を提供する。地上で衛星信号を使用するナビゲーションと同様、宇宙船はパルサーを観測することで自主ナビゲーションを実現する。これがパルサーナビゲーションだ。
「慧眼」衛星首席科学者の張双南氏によると、「慧眼」は有名な「かに星雲」のパルサーの約5日連続の観測を行った。さらに高能物理研究所の研究チームによるX線パルサーナビゲーションアルゴリズムを観測データに応用した。その結果、その3倍標準偏差の測位精度が10キロに達した。同ナビゲーションアルゴリズムをさらに検証するため、研究チームは十分な理論分析を行い、各種パルサーを選びシミュレーションと検証を行った。その結果、同方法はその他のナビゲーションパルサーに対しても適用されることが分かった。
「宇宙の灯台」と呼ばれているパルサーは、高速回転する中性子星、大質量恒星の寿命末期の超新星爆発後に残された緻密な天体だ。そのパルス信号の長期的な時間の安定度は非常に高く、地球上の原子時計を上回るほどだ。宇宙における時間の基準にできる。
「慧眼」衛星は中国初のX線天文衛星で、2017年6月15日に打ち上げられた。高エネルギー・中エネルギー・低エネルギーX線望遠鏡という3つのペイロード、宇宙環境観測装置を搭載。ブラックホール、中性子星、ガンマ線バースト、重力波バーストなどの大量の観測データを取得した。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年8月23日