重さ約35キロの8軸ドローンがゆっくりと浮上し、数十メートルの高度に達すると100メートル離れたA地点とB地点にそれぞれもつれ光子を発射した。2つの光子は大気の乱気流、雨水、日差しなどの干渉を受けたが、依然としてほぼ元のまま地上に到達した。南京大学が20日に明らかにしたところによると、同大学の祝世寧氏、謝臻達氏、鞏彦暁氏のチームが2年以上かけて開発したこのシステムは、世界で初めてドローンによる量子もつれ配送を実現し、同分野における空白を補った。科技日報が伝えた。
この研究成果はこのほど有名な学術誌「National Science Review」に掲載された。量子通信の「次の最良の選択肢は、割安なドローンだろう」という指摘がなされた。
量子もつれ配送にはこれまで、主に光ケーブルリンクによるものと、衛星と地上間の自由空間配送・伝送に分かれていた。中国科学院院士で、南京大学教授の祝世寧氏は「ドローンによる量子もつれ配送には、機動的でスピーディ、需要に基づきネットワークを構築でき、容易に拡張でき、低コストという特徴がある。研究チームは2017年より南京市、石家荘市、蘭州市で実験を行っており、最終的にドローンによる量子もつれ配送を実現した」と述べた。
この8軸ドローンは重さ10キロの量子通信システムを搭載できる。測量結果によると、A地点とB地点の光子もつれの「ベルの不等式」のSパラメータが2.49に達し、量子もつれ配送は成功を収めた。
南京大学の謝臻達教授は「我々の実験結果は、伝送リンクが安定しており、損耗が少ないことを証明した。量子もつれ配送は量子通信の重要手段の一つだ。実験の成功は、ドローンを利用した量子通信ネットワークの構築が可能であることを示している」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年1月22日