ツァイ・ミンリャンら監督作品 釜山国際映画祭に出品
中国の動画サイト、鳳凰視頻が製作した、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)他世界的に活躍する映画監督6人による映画「原郷与離散」がこのほど第18回釜山国際映画祭に出品されることが明らかになった。同作は英語タイトル「Letters from the South」として釜山国際映画祭に登場し、ワールドプレミア上映を行う。中国国内動画サイトが製作した映画としては、初の国際映画祭出品作品となる。中国新聞網が伝えた。
蔡明亮、マレーシア出身の陳翠梅(タン・チュイムイ)など世界各国の監督6人が監督を務めた映画「Letters from the South」は、「原郷与離散」シリーズのミニ映画6本をまとめて映画化したものだ。長さ約90分の本作は海外華僑の生活を背景に、東南アジアの情緒溢れる作品となっている。映画はそれぞれ特色ある6つのストーリーからなり、海外華僑の暮らしぶりや華僑の精神世界が描かれている。反発しながらも最後には理解し合う父子、死に装束を待つ危篤の老人、運命を引き裂かれた姉妹・・・。それぞれ異なる内容にもかかわらず、いずれも細やかで奥深い文化的思考を伝えている。
1990年代に起こった「第二次台湾ニューウェーブ」の代表監督として李安(アン・リー)と並び称される蔡明亮はこれまで1本の映画の中に完全な物語を描こうとしたことはない。それどころか、蔡明亮映画にはストーリーらしきものがない上、シナリオさえ存在しない。また、蔡明亮の映画は往々にして抽象的で、その抽象性はミニマムでシンプルなものへと繋がっていく。スローなカメラワークによって撮られた映像は、まるで現実世界のようでもあり、まったく異なるようでもある。蔡明亮映画に登場する俳優たちの演技は、ある種の感情や人間性を表現しているようだが、それよりも観念を表現する装置や人形に似ている。「Letters from the South」の中で蔡明亮監督はより革新的な試みと挑戦を行っているのは間違いない。観客にこれまでとは異なる映画体験を必ずもたらしてくれるだろう。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年9月29日