▽実事求是で文化支援をながめる
第2次世界大戦で、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、フィリピンなどはいずれも日本の侵略戦争の被害を受けた。日本は東南アジアでのイメージの再構築を重視しており、日本のソフトパワーをよりどころとし、これを広めて、イメージを刷新したい考えだという見方がある。
清華大学当代国際関係研究院の劉江永副院長によると、日本がASEANにボランティアを派遣して日本語の普及に努めようとしていることを単純に文化戦争の発動だととらえてはならない。また政治問題化させたり、別の目的に利用したりしてはならず、実事求是の態度で具体的な問題を具体的に分析しなければならない。
日本の「金満外交」は東南アジアに波及しているが、日本は経済面でのみ東南アジア各国に支援を提供しているわけではない。劉副院長の指摘によると、日本政府の対外支援には、円建ての低利子借款が含まれ、これはインフラ建設の支援に充てられている。無償の支援も行っており、象徴的な意義のある建築物を贈ったり、技術者を日本に招いて訓練育成や交流を行ったりしているという。
日本が費用を出してボランティアを派遣し、日本語教育をサポートするという「突然の行動」を取ったことは、特に変わったことではなく、通常の文化交流だ。
劉副院長によると、改革開放のスタート当初、日本は中国にも無償の支援を提供し、日本語教師の育成を目的として北京に日本学研究センターを設立した。
日本の動きを文化戦争をしかけたものと軽々に判断するのは妥当ではない。
▽歴史を美化することはできない
これまで日本は「マンガ・アニメ外交」を提唱し、海外の若者の日本のマンガ・アニメへの関心をよりどころとして、日本の好感度を高めようとしていた。
劉副院長によると、日本が文化面で支援を提供することは、イメージの改善にプラスになり、さまざまな角度から日本を理解してもらうのに役立つが、政治情勢や国際情勢の面で日本と隣国との関係に影響を与えることはできないと分析する。
劉副院長の指摘によると、文化支援の影響や効果は支援を提供する側によって決まるものではないが、文化政策が政治の影響を受けるのは不可避であることは否定できない。両国が政治的に長期間対立し、関係が悪化している場合は、文化交流にも障害が出ることになる。
劉副院長は次のように強調する。日本がASEANに日本語の教員を派遣することと侵略者のイメージから脱しようとすることとはイコールではない。こうした行為は東南アジア諸国に一定の影響を与えはするが、これによって日本の侵略の歴史を美化することはできない。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年5月17日