日本の一般人は右翼を、話ができない過激分子としている。しかしさまざまな挑発や脅迫に直面しながらも、松岡さんは尻込みせず、落ち着いて彼らと議論しようとしている。松岡さんと同僚は、鈴木氏と1時間以上に渡り対話した。
この誠意があったからか、同作品は順調に公開された。「映画を見てから抗議する」つもりだった鈴木氏は、「映画を見てから、証言者は加害者でもあり、被害者でもあると感じた。私もあの悪魔の時代に兵士をやっていたら、命令に従いやっていたかもしれない」と語った。鈴木氏はまた、「この映画を見た私は、右翼から裏切り者扱いされるかもしれない」と苦笑した。
67歳の松岡さんは、中日間の歴史に足を踏み入れることは、苦しみに満ちた川を渡るようなもので、歩くほど深みにはまり、希望を失うことを理解している。松岡さんの友人、米国人の華僑作家の張純如(アイリス・チャン)は2004年、歴史の痛みに耐え切れず自殺を選択した。松岡さんは、これでさらに孤独になったと感じた。しかし孤独は彼女に妥協ではなく、より毅然とした態度を持つことを強いた。「私の仕事は歴史を明らかにするためだけではなく、罪深い戦争を二度と起こさないためだ。これは中国のためだけではなく、日本のためでもある」松岡さんは、「一国が自分の過ちを公にすることを避け続ければ、真相が明らかになった日には、もう取り返しがつかないことになっているかもしれない」と常々口にしている。彼女の使命は、この世に警鐘を鳴らし続けることだ。
中国人はこの不屈の女性学者を、「日本の良心」として高く評価している。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年5月8日