■過度の貯蓄は経済成長の足かせに
貯蓄率が高止まりしているのに対し、中国の国民消費欲は弱まっている。中国人民銀行(中央銀行)が11年初めに発表した、預金者を対象に実施した調査報告によると、都市部の住民85.8%が貯蓄傾向にあり、消費意識のほうが高い住民は14.2%にとどまり、1999年以降でもっとも低い消費欲となった。
中国国務院(政府)発展研究センターの呉敬◆研究員(◆は王へんに連)は「過度の貯蓄と消費不足というアンバランスな構造が長期間にわたり続いていることは、中国経済成長の足かせになっている。GDP成長率が継続して高まるための内在的原動力に欠ける」と警笛。
さらに「高い貯蓄率は企業の発展にとっても不利」とし、「貯蓄率が高すぎると、消費の不足を招く。ある意味、短期的に見ると、いかなる生産も最終的には消費にかかっている。投資を増やし、生産能力を高めても、最終的には生産の費用対効果を高めなければならない。簡単に言うと、商品を作り、買う人がいて初めて生産を維持できる。そのため、貯蓄率が高すぎるのは決して良くない傾向。このように消費が不足すると、消費より生産能力のほうが高くなり、企業は利益を確保するのが難しくなる」との見方を示す。
ただ貯蓄率が低ければ低いほどいいというわけでもない。曾主任は「貯蓄率が低すぎると、過度の消費を招く恐れがある。この種の消費が続くと、見た目だけの繁栄を招きかねない。例えば米国は貯蓄率が低いが、消費は自分の能力を超えて借金するほど高い。しかし、借金を返済するあてもなく、サブプライムローン問題のような問題が発生する」と指摘。つまり、「貯蓄率が高すぎのも低すぎるのも好ましくない」ということだ。
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