|
ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディング付近 |
ニューヨークで、赤信号で横断しようかどうか躊躇している人、あるいは、赤信号を渡る他人に不審な目を向ける人がいたら、彼らは間違いなく、初めてニューヨークにやって来た中国人を含む外国人観光客だ。中国人は、「米国人は非常にまじめにルールを守る。赤信号なのに横断するなんてあり得ない」と自国で教えられ続けてきた。中国からやって来たある学生が、「ニューヨークに到着しました。ニューヨーカーが平然と赤信号を無視して道を渡っています。赤信号を無視して渡るのは、我々中国人だけだと思っていましたが?」とブログに書き込んだ。
ニューヨーカーはなぜ赤信号を無視するのか?彼らの素養が低いのだろうか?その理由を一言で片づけることは、おそらく不可能だろう。人種のるつぼ・ニューヨークの文化レベルはピンからキリまで。道行く人の中には、学校に通ったことがない不法移住者がいる一方、巨額の富を持つ億万長者もいるが、大学卒の高給エリートが多勢を占める。赤信号横断の原因は、どうやら素養とは関係なさそうだ。
赤信号を無視して道を渡るニューヨーカーが多いのは、市交通警察が違反者を取り締まらないことと関係が深い。自動車が信号を無視すれば、処罰の対象となるが、歩行者が交通警察官の目前で信号を無視しても、警官から一言の注意もない。このような光景は日常茶飯事だ。1998年にニューヨーク市が交通安全運動を展開した時、警官が信号を無視して横断したキャリアウーマンに対し、初めて50ドルという高額な違反切符を出した。女性はこれを不服として訴え、この件は未解決のまま棚上げとなった。
ニューヨーカーの信号無視横断は、ニューヨーク市の交通規則が不合理という事情とも関係がある。市内には、立体交差橋や歩行者用歩道橋はほとんどない。青信号が点灯すると、歩行者は横断するが、横切る自動車も右折するため、人と車が地理空間上で衝突することになる。ニューヨークのドライバーも軒並み、「タダ者」ではない。彼らの運転は非常に荒っぽく、野蛮この上ない。つまり、青信号で横断しても、ニューヨークの歩行者にとって、安全に横断できるという保障はない。青信号でも赤信号でも、どのみち車と道路を奪い合う羽目になるため、月日が経つうち、信号は歩行者にとってどうでも良い存在になった。
[1] [2] [3]