激増する海外留学帰国組、もはや「エリート」にあらず
ここ数年続いている「留学ブーム」に伴い、留学生の「帰国ブーム」もますます盛んになっている。しかし、急増の一方で、海外帰国組がだんだんと「世間からの寵愛」を失いつつあるのも事実だ。「エリート」という勲章は次第に色あせ、海外帰国者は「珍しくもなんともない時代」がやって来た。「脱エリート化」に向かう中、海外帰国者の立ち位置、キャリア計画、人生の選択には、どのような変化が生じているのだろうか?社会は彼らをどのように評価すべきだろうか?また、これらの変化は国の人材に対する考え方にどのような影響を及ぼすのだろうか?人民日報海外版が伝えた。
「就職難・低収入・結婚難」がここ数年、海外帰国組にまつわるキーワードとなっている。ハイレベルの海外帰国組は国内で「もてはやされ」ているものの、普通の海外帰国組は、もはや海外経験によって「箔がつく」ことはなくなった。「エリート」というレッテルを失いつつある海外帰国組の「脱エリート化」傾向は、より強まっている。
○「エリート」から「平民」に落ちた海外帰国組
改革開放初期、中国人の海外留学は、ほとんどが公費留学によるものだった。国家部門の幹部や成績が特別優秀な人だけが、海外の大学から奨学金を得ることができた。中国欧米同学会の副会長を務める中国グローバル化研究センターの王輝耀主任は、「1980年代から1990年代にかけて、『海外帰国組』は『知的エリート』の代名詞だった。今世紀の初めになると、多くの企業が、海外帰国者をバイリンガル・バイカルチャー人材と見なすようになった。外資企業の多くは、複数国家の文化・言語に通じているという強みを持つ彼らを積極的に雇用し、中国支社の要職に就かせた」と語る。
しかし、海外からの帰国者数はここ数年、大幅に増加しており、「外国帰り」が持つ意味が軽くなった。一昔前は国内でもてはやされた「高級エリート」だが、彼らが珍重された時代は終わり、彼らに対する社会全体の態度も、次第に冷めたものとなった。シンガポールで働く中国人留学生の◆(火へんに日、下に立)青さんは、「海外帰国組の中にはハイレベル人材がまだ沢山いるが、全体的に見て、今の海外帰国組の能力や学識は、改革開放初期の初代海外帰国組の足元にも及ばない」と指摘した。海外帰国組の何さんも、「海外帰国組は、エリートからますます遠ざかり、大衆化の方向に向かっている」とため息まじりに語った。