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アジアの通貨体制をかき乱す「黒田緩和」 (2)

 日本経済の長期低迷の根本的原因は高齢化、企業のイノベーション能力の不足といった非通貨レベルの要因にあり、紙幣の印刷量を増やしてもこうした深いレベルの経済構造問題の解決は不可能だ。したがって日本の量的緩和は開始当初から成功の基礎的条件を備えていない。力強い政策的重点を欠いているからだ。

 現在日本の就業人口のうち45歳以上がすでに50%に達し、55歳以上も29%にも達している。中高年中心の社会はイノベーションの能力と衝動が自ずと下がり、それに伴い生産効率の向上も壁に直面する。そしてこうした全てが国民所得の増加を困難にするのだ。1997年以降、日本の家庭の可処分所得は基本的に減少している。2012年末には1997年と比べて14.4%減少。サブプライム危機本格化前の2007年と比べても3.6%減少した。所得水準の向上は困難であり、高齢者を養う負担も大きくなり続けている。これは必然的に国内の消費不振を招き、さらにデフレ、最終的には企業の投資力の低下を招く。

 日銀はインフレ期待をつくりだすことで日本国民の消費意欲を高めることを一方的に期待しているが、これは取らぬ狸の皮算用で、日本国民はインフレの脅威の下で一層財布の紐を締め、細かく計算するようになる可能性が高い。たとえ黒田緩和が本当にCPIの上昇をもたらしたとしても、住民消費の自発的な伸びによってもたらされたものではなく、輸入物価の大幅な上昇のもたらす生産コスト、生活コストの上昇によるものだろう。これは事実上、日本国民の老後の蓄えを侵蝕し、違う形で貯蓄水準と消費力を引き下げるものであり、実体経済の成長に明らかな効果をもたらすとは限らない。

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