東南アジアへの移転、日本が「世界の工場」から撤退か? (2)
ある東アジア研究所の研究員は本紙に対して、「日本は、東南アジア諸国との海洋提携を重視してきた。特に安倍首相の再任後、日本はこれをさらに重視するようになった」と指摘した。上述した観点からも、日本の産業シフトの裏側にある一つの要素が、中日関係の緊張であることが分かる。
同研究員は、「釣魚島問題後、日本は中国との間に領土問題が存在する一部のASEAN諸国と、経済・海洋軍事面の提携を強化した。日本はこれにより、中国に一定の圧力をかけようとしている。中日間の貿易関係も、これにより冷え込みを見せている」と述べた。
日本企業の中国事業も不調だ。日本の自動車メーカー8社は、中国市場の販売業績が低迷したと発表した。中国の反日ムードとその規模により、日本の観光業・航空業・小売業などが長期的な打撃を受けている。
調査コンサルティング会社・中投顧問の馬遥マクロ経済研究員は、「自動車製造業は、日本製造業全体の支柱産業とされてきた。その業績低迷は、日本経済に深刻な影響を与える。釣魚島問題のエスカレート後、日本企業の中国での事業展開が緩慢になり、産業をASEAN地区に移した。これは政治・経済利益の最大化を図るための、国家による正常な行為だ」と指摘した。
日本の2011年の対ASEAN直接投資額は、2010年の2.4倍の1兆5000億円に達し、2年連続で対中投資の1兆円を上回った。
安倍内閣の発足当初、麻生太郎副総理兼財務相がミャンマーを訪問した。これはミャンマーとの経済関係の促進により、日本企業の進出を後押しすることを目的としていた。他にも、安倍首相は就任後初の外遊先に東南アジア4カ国を選択し、経済再生を最優先課題とした。安倍首相はさらに、「成長を続けるアジア経済圏と融合する」と発言し、経済提携およびインフラ輸出により、日本企業の海外進出を促そうとした。
馬氏は、「ASEAN諸国は現在、日本により多くの利益を与えることができる。日本は中国の人件費高騰を受け、産業をASEAN地区に移している。企業にとって、コスト増は利益を狭めることになる」と語った。
世界の工場の地位に揺らぎ