円安は日本経済を救えるか?
円相場の調整は、日本のグローバル企業に一休みの時間を与え、経営状況にも大きな好転が生じた。しかしこれが投資ブームをもたらし、日本経済を成長軌道にのせ、国民生活を好転させることができるかどうかは疑問だ。中国経済週刊が伝えた。
安倍晋三首相が昨年12月26日に就任してから5月7日までに、米ドルの対円相場は1ドル=85円から99円に上昇した。2012年9月の1ドル=77円から計算するならば、円相場はすでに29%下落していることになる。
日本人消費者から一時心配されていたシャープは、円安により突如として力を取り戻した。シャープが2013年3月に5000億円の赤字を計上したと公表したことを受け、市場ではシャープの破産が予想されていた。しかしシャープが2014年3月に黒字転換するという見通しが、新聞で報じられた。シャープのような規模を持つ企業が、5000億円という赤字を一年間で黒字転換するのだから、相当な底力を持っていると言える。
トヨタは「鬼に金棒」と呼べる状況だ。円相場が1円下落するたびに、トヨタは350億円の収入を得ることになる。トヨタは円安だけでも、5000−8000億円の予想外の収入を得られる。企業は当然ながら、円安を歓迎している。
米国人学者のリチャード・カーツ氏は、「トヨタが米国に輸出する自動車が、2012年9月時点で2万4000ドルで販売されていたならば、現在の価格は1万9000ドルに下がっており、トヨタの手にする利益も18万7000円増加している」と指摘した。
半年余りの期間で、従業員削減や就業時間増加により利益を30%増加できる企業は存在しない。これを実現させるただ一つの要素は、為替相場だ。
筆者は東京で多くの企業を取材し、「投資および生産規模を拡大する予定はないか」と質問した。多くの企業は、「市場にリスクがあり、投資に慎重になる必要がある」と回答した。