「ハリウッドの歴史映画は間違いだらけ」アン・リー監督
「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」でアカデミー監督賞を受賞した台湾出身の巨匠・李安(アン・リー)監督は映画と文化の関わりについて「歴史の真実と劇場の真実はまったく異なる。成熟した映画監督は、この2点いずれにも考慮しなければならない」とした上で、「南北戦争を扱った米国の映画はほぼすべて歴史的事実とかけ離れている」と指摘した。「北京晩報」が伝えた。
李安監督は、1999年に撮影した監督作「翼をください」を例えに挙げ、「この映画を撮影する際に大量の歴史資料を研究したことで、南北戦争を扱った米国映画はほぼすべてが歴史的事実とかけ離れていることに気付いた」と語った。「私が研究した南北戦争を扱った米国映画は間違いだらけだった」
李安監督によると、南北戦争が起こった要因は非常に複雑に入り組んでおり、近い距離からじっくりと研究して初めて真相が理解できるという。「南北戦争の真相は米国人でさえ理解できない。『翼をください』は興行的には失敗したが、これは映画がひどかったからではなくて、逆に映画の出来が良すぎたからだ」と分析する。
さらに李安監督はハリウッドの西部劇にも言及し、「すべて偽りだ」と切り捨てた。「互いに向き合って銃を打ち合うやつがどこにいるというのか。西部劇はハリウッドに来たばかりのアイルランド人が作り出したものだ。本当の米国西部の人はまったくこんな様子ではない。もし本当に人を倒したかったら、一番いい方法は棒を手にとって、相手の背後から頭をなぐりつけることだ。しかし、西部劇は文化においてすでに人々の心に深く入り込んでいるので、今は西部の人々までこれに従わなければいけなくなっている」
李安監督は「文化は相互に影響し合うものだ。長期にわたって形成された文化的な常識もまた我々の生活の一部分だ」と語った。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年5月17日