東南アジアへの移転、日本が「世界の工場」から撤退か? (3)
近年、日本企業が中国市場から撤退するという情報が後を絶たない。馬氏はこれについて、「その可能性は非常に低い」と語った。
馬氏は、「中国市場は世界各国が争奪しようとする市場だ。これは中国が、巨大な需要を生み出せるためだ。日本は一部の産業をシフトするが、中国市場を捨てることはない。日本のASEANへの産業移転は、製品の生産コストを引き下げ、利益の最大化を図る措置にすぎない」と分析した。
中国企業および中国で投資を行う外資系企業も近年、東南アジアに投資し、相次いで工場を建設している。アディダスやナイキなどの世界有名ブランドは2012年に、中国の生産工場を閉鎖した。中国における衣料品メーカーは、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、バングラデシュなどにシフトしている。中国最大のEMS工場も、インドネシアに投資し工場を建設している。中国の「世界の工場」としての地位は、より厳しい課題に直面しているようだ。
製造業のアナリストは、「世界の景気低迷だけではなく、中国の製造業発展はモデルチェンジという課題に直面している。中国国内の一部産業の、低コストのメリットはすでに失われた。イノベーションをするか、衰退するかだ」と語った。
馬氏は、「中国企業および中国で投資を行う企業の東南アジアへのシフトは、悪いことばかりではない。東南アジア諸国と中国の文化環境には大きな差がなく、企業はグローバル化経営の経験を積む他に、ASEAN諸国の豊富な資源、安価な人件費というメリットを活用できる」と指摘した。
馬氏は、「また中国とASEANは早くから利益で繋がっており、中国?ASEAN自由貿易区を構築している。産業移転は、ASEAN経済の発展ばかりではなく、中国企業の産業構造の改善にとっても有利であり、中国およびASEANの全体的な経済力を高められる」と述べた。
業界関係者は、「中国と日本は現在、投資を東南アジアにシフトしている。主な投資先となっているのは基礎的な製造業と、技術力の低い労働集約型産業だ。そのため企業は、人件費の安価な地区に注目している。また東南アジアは、中国と隣接している。中国市場は巨大な需要の潜在力を持ち、輸送コストも割安なため、東南アジアは多くの製造メーカーの重要な進出先になっている。中国の外資誘致環境は改善されており、労働力の素養も向上している。今後一定期間に渡り、中国の『世界の工場』としての地位が変わることはない」と分析した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年5月17日