第一に、デフレの影から脱すると同時に、日本経済の供給能力のボトルネックが顕在化しており、これは実際には経済の潜在的成長率が改善されていないことの現れだ。経済産業省がまとめたデータによると、13年12月、日本の生産能力利用率指数は101に達し、11年に東日本大震災が発生して以降で最も好調な数字になった。地震後の一時期は生産能力が破壊されるため、残った生産能力の利用率が高くなるからだ。
14年1月現在、日本は19カ月連続の貿易赤字で、赤字幅が徐々に拡大している。13年の貿易赤字額は1200億ドル(約12兆2760億円)に迫った。今年1月は269億ドル(約2兆7518億円)に達して、データがある1979年以降で単月の最高を記録し、為替変動要因を除けばこの数字はさらに大きなものになる。貿易赤字は国内で需要が過剰であることの現れであり、また国内の供給能力が不足していることの現れでもある。供給能力の不足から、日本経済の潜在的な成長ペースが実質的には改善されていないことがわかる。
第二に、アベノミクスが実施されて以来、日本の貯蓄率は低下し、固定資産投資の伸びも鈍化しており、こうしたことが潜在的な成長ペースの水準を中期的・長期的に悪化させる可能性がある。
金融超緩和政策により、円レートは大幅に値下がりし、日本の金融資産の価格が上昇した。株式市場では、日経平均株価が13年は56.73%上昇して著しい資産効果を上げ、これに消費税率引き上げが確定するのではないかとの見込みが加わって、日本人の消費意欲が喚起された。これと同時に、日本の財政政策は拡大傾向を維持し、13年の国債発行残高は初めて1千兆円の大台を突破。個人消費や政府の支出が拡大し、プライベートファンドやとりわけ固定資産投資の伸びがもたらされた。
注目すべきは、日本の民間企業の設備投資が短期的にみれば需要の一部を構成し、中長期的にみれば供給面で新たな潜在的生産能力を提供するとみられる点だ。このため民間企業の設備投資の伸びが停滞すれば、企業の信頼感が揺らいでいること、また潜在的生産能力の水準が改善されていないこと、さらには悪化の可能性があることの現れだといえる。
以上のことをまとめると、アベノミクスの需要喚起の効果はすでに現れたとはいえ、需要の開放にともなって、供給のボトルネックが問題化しつつあるといえる。固定資産投資の水準からみると、中長期的な供給能力の修復は楽観できる状況にあるとは言い難い。アベノミクスがこれから構造改革を重視しないとすれば、日本経済の抱えるスタグフレーションのリスクは現実のものになる可能性があるといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年3月24日
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