日本政府は25日、新たな「エネルギー基本計画」の政府案をまとめ、原子力発電を「重要なベースロード電源」とし、安全基準に適合することを条件として原子力発電所の再稼働を推進する方針を明らかにした。これにより、民主党の野田政権の時にうち出された「2030年代に原発稼働ゼロ」という目標は完全に棚上げされたことになった。人民日報が伝えた。
このベースロード電源とは、季節的・時間的な制約を受けず安定的に供給することができる電力を指す。ここから日本の電力生産で原子力発電所が中核的な位置づけにあることがはっきりとわかる。今回の政府案はエネルギー構造全体に占める原子力エネルギーの比重を明確にしていない。ある報道によると、日本の経済産業省が最初に作成した草案では、原発の位置づけは「重要なベース電源」だったという。
だが与党の「脱原発派」議員がこの表現では原発を過剰に持ち上げすぎているとして強く反発したため、修正が加えられた。政府案では今後3年で再生可能エネルギーの開発を強化することも強調している。具体的な措置としては、環境評価にかかる時間を短縮する、大型蓄電池の研究開発を進める、送電・配電網を構築することなどを掲げる。政府案は3月の閣僚会議で審議・決定される予定だ。
原発の稼働停止後の電力不足が日本経済の復興を妨げている。東京電力の福島第一原子力発電所で東日本大震災による事故が発生する直前には、日本ではエネルギー供給に占める原発の割合が30%を占めていた。今年1月、日本は19カ月連続の貿易赤字となった。赤字の主な原因は、火力発電所が必要とする液化天然ガスや化石燃料の輸入が大幅に増加し、円安も相まって価格が急上昇したことだ。米国がシェールガスの産業化によってエネルギーコストを大幅に引き下げ、製造業の回帰をはかろうとしている時に、安価なエネルギー供給源をもたないことが日本の経済界にとってますます頭の痛い問題となっている。
安倍政権が原発を再稼働しようとするもう一つの原因は、原発技術の輸出推進にある。福島の事故以前、原発は日本の輸出における基幹産業だった。安倍首相は就任後、トルコ、サウジアラビア、東南アジア諸国への原発売り込みに力を入れている。国内市場の支えがなければ、日本の原発技術を海外で売ろうとしても説得力がない。
原発の安全性に懸念があることから、再稼働をめぐって日本社会には大きな亀裂が生じている。今年初めに行われた東京都知事選挙では、原発が重要なテーマとなり、この選挙を原発政策に対する「国民投票」とみなす人もいた。安倍首相の政治的な恩師であり元首相の小泉純一郎氏は、安倍首相の「メンツ」をつぶして、「原発ゼロ」を強く訴え、理念を同じくするこちらも元首相の細川護煕氏を支援した。日本の共同通信社が行った世論調査によると、日本国民の60%が原発再稼働に反対していたが、最終的には再稼働を支持する桝添要一氏が都知事に選ばれた。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年2月26日