▽シフトレバーなし まるでファッショナブルなデジタル製品
上海市浦東新区区委員会の沈暁明書記とマスクCEOが引き渡し当日、テスラのマーク入り幕を開くと、集まった人々の眼前に色とりどりのテスラ車が姿を現した。
流線型の外観は、ネットで広まっていたスポーツカー風の予想図ほどきらびやかなものではなかったが、ドアを開けると、車内の装備にどよめきが広がった。シフトレバーがないのだ。代わりに大型のタブレットコンピューターが搭載され、17インチのタッチスクリーンに触れてすべてをコントロールするようになっている。このデジタル化した頭脳は、スマートフォントと連結することもでき、遠隔操作が可能だという。
テスラの車載コントロールシステムは携帯電話のソフトウエアと同じようにバージョンアップが可能で、バグを修復したり、最新の機能を利用者に素早く伝えるのはもちろん、道路状況をみて速度を自動調整したり、クラウドを通じて認識したり、車に乗る人の飲食の習慣や好みなどを記録したり、関心を読みとって自動的に娯楽を提供することやルートを設定することもする。消費者の多くが、「テスラは自動車というより、デジタル製品みたいだ」という。実際、このほど北京と上海で引き渡しを受けたオーナーには、情報技術(IT)関係者が少なくない。
興味深いのは、テスラが北京モーターショーを「欠席」し、第2回中国(上海)国際技術輸出入交易会でお目見えしたことだ。上海交通大学汽車工程研究院(汽車は自動車の意味)の殷承良副院長(教授)は、「テスラは独立独歩の姿勢を堅持するからこそ、伝統的な自動車産業の中で抜きんでることができた」と話す。
▽既存技術の統合もまたイノベーション