習近平国家主席は昨年9月、カザフスタンのナザルバエフ大学で講演した際、シルクロード経済ベルトという戦略的構想をうち出し、国内外の各方面で注目を集めた。多くの国が地域経済協力において中国がより大きな役割を果たすことを願っている。その一方で、学術関係者の中にはシルクロード経済ベルトの概念をよく理解できない人や懸念を覚える人もいる。そこでシルクロード経済ベルトの深い内容を正確に理解することがぜひとも必要になる。(文:馮玉軍・中国現代国際関係研究院ロシア研究所所長)
シルクロード経済ベルトとは、中国西部地域の発展や拡大を欧州・アジアの内陸地域やさらには欧州地域全体にまで広げていこうとする広大な経済構想だ。西方への拡大を通じて、中国の中・西部と中央アジア、南アジア、西アジアとの貿易往来や経済協力を強化する。中国が全方位的な対外開放局面を形成し、東西の均衡調和した発展を実現するための重要なプロセスといえる。
シルクロード経済ベルトは欧州大陸とアジア大陸の地域経済協力を強化しようという提案でもある。東のアジア・太平洋経済圏から西の欧州経済圏まで、ユーラシア大陸全体を覆い、この地域には豊富なエネルギー資源、鉱物資源、観光資源、文化資源、農業資源があり、世界随一の市場規模がある。シルクロード経済ベルト実現の道のりは戦略的な協調と政策の意思疎通を中心とし、一致した制度や強制力のある制度をひたすら追い求めることはせず、柔軟性が高く、弾力性に富んでいるといえる。こうした新しい協力モデルにより、欧州・アジア各国の経済的連携がより緊密になり、相互の協力がより深まり、発展の可能性がさらに大きくなるとみられる。
シルクロード経済ベルトは人為的かつ強制的に行われる一体化プランではなく、自然の流れの中で形成されてきた協力の構想だ。中国は今ではロシア、カザフスタン、トルクメニスタンの最大の貿易相手国であり、ウズベキスタン、キルギスにとっては2番目、タジキスタンにとっては3番目の貿易相手国だ。中国との協力は中央アジア諸国が「内陸国」、「二重内陸国」の苦境を脱するのを助け、各国の経済発展に極めて大きい地縁的な可能性を与える。中央アジア地域の各国間の協力関係発展の成果は、シルクロード経済ベルト建設の基礎を着実に固めるものとなる。
シルクロード経済ベルトは中国が主導する地縁的な経済計画ではなく、多元的で開放された協力のプロセスだ。盟主というものはなく、平等な話し合いに基づく協力が行われる。強制的なタイムテーブルはなく、順序を追って徐々に進むプロセスであり、水が流れて少しずつ用水路を形作るような自然な流れである。閉鎖的なところや保守的なところはなく、相互に尊重しあい、多元的に包摂しあう関係である。シルクロード経済ベルトの建設は、経済発展や経済協力の拡大を求める欧州・アジア諸国の利益・需要に合致するものであることは間違いない。(編集KS)
「人民網日本語版」2014年1月22日