火星移住は可能か? 実現の課題を分析 (2)
また火星そのものの特徴も、この宇宙への片道ツアーに多くの課題を突きつけている。火星は地球よりも太陽から遠く離れている上に、火星上の砂嵐は台風の風力(32.6メートル毎秒)の数倍に達し、通常ならば数カ月に渡り吹き続ける。このためバッテリーの電力供給は困難で、エネルギー補給が大きな課題となる。また火星上の気温は地球を大きく下回るため、火星着陸機の温度制御システムにも高い要求が突きつけられる。火星の引力は地球の約3分の1のため、地球の軌道上(引力は地球の6分の1)で使用されている船外宇宙服および月面宇宙服は、火星上で使用できない。ゆえにさらに高機能で軽量化された火星用の宇宙服を開発しなければならない。
火星に向かうことも容易ではないが、火星から地球に帰還するのはもっと困難だ。火星の引力は月より大きいため、火星着陸機の上昇装置は、さらに大きな推進力を持たなければならない。火星宇宙船が地球に帰還する際の速度は月面着陸船を大きく上回るため、宇宙船が地球の軌道に入る際の角度・速度・タイミングを正確に制御する必要がある。これができなければ、宇宙船は地球をかすめて行ってしまうか、地球に墜落するだろう。コスト・技術を検討した結果、今回の火星ツアーが片道のみになったのもやむなきことだ。最終的に期限通りに計画が実行に移されるかについても、数多くの不確定要素が存在する。
星から星への宇宙飛行は美しい夢である。火星の有人着陸は、人類の太陽系における、現時点の最終的な目標だ。現在の科学技術水準から見れば、上述したすべての課題は徐々に解決されていくはずだ。ただし、「マーズワン・プロジェクト」が人類の夢を担えるかについては、商業的な喧伝の要素も含まれるため、私たちは今後の経過を見守る必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年5月21日