マクロスケールの超潤滑が発見、永遠に止まらない時計も可能に
清華大学の魏飛教授が率いる研究チームはこのほど、大気環境中のマクロスケールの超潤滑現象を世界で初めて測定したと発表した。これは、摩擦現象を克服するための希望の光となった。超潤滑の材料・部品が製造されば、ぜんまいを1回巻くだけで永遠に止まらない時計や、永遠に磨損しない軸受けが誕生することになる。人民日報が伝えた。
データによると、世界の約3分の1から2分の1の一次エネルギーは、摩擦によって消耗している。工業発展国の摩擦・磨損による損失は、GDPの5−7%を占める。ナノスケールにおいては、材料の表面積が拡大するに伴い、表面摩擦が部品の性能と寿命を損ねる重要な要素となる。
摩擦・磨損という問題を解決する「良薬」は、超潤滑の実現だ。超潤滑は本当に存在するのだろうか?過去20年間の多くの科学実験によると、超潤滑は特殊なナノスケールの中でのみ存在し、かつ大多数は超高真空状態においてのみ実現されるが、これは実用化とは程遠い。科学者はマクロスケールでの超潤滑は、実現がほぼ不可能としていた。
魏教授が率いる研究チームは10年間に渡り、カーボンナノチューブ関連の多くの研究を行った。同チームは、カーボンナノチューブの隣り合う2層の管壁の間で、大スケールの相対すべりが生じることを発見した。これは超潤滑を研究するための理想的な材料だ。同チームはその後、清華大学ナノ力学・多学科学際革新研究センター、北京大学情報学院と共同実験を実施した。