▽「全産業チェーンモデル」で初戦勝利
張彬氏によると、グラファイト産業の問題は資金不足にはなく、市場不足にもなく、人材不足にある。
張氏傘下の瑞盛新エネルギーは2011年、清華大学との協力を始め、微結晶グラファイトの精密加工の難関攻略の道に乗り出した。この協力では、微結晶グラファイトの等静圧グラファイトリチウムイオンマイナス極材料における性質と応用の研究が行われ、国内の空白が埋められた。同年にはさらに、中国科学院山西石炭化学研究所との協力で、高熱伝導グラファイト材料に関する取り組みがなされ、同分野で世界をリードする水準に到達した。2013年末には、グラファイトビニル基導電剤プロジェクトで清華大学との新たな協力が展開された。
張氏はさらに、1千万元(約1億6000万円)を投じて国内で特許を買い、100人規模の科学研究チームと専用の実験室を設立した。瑞盛新エネルギーはすでに、10件余りの国内特許技術と12の主力製品を保有している。投入と産出の間にはまだ開きがあるが、2013年に瑞盛新エネルギーが6つの主力製品を打ち出すと、中国のグラファイト輸入価格は明らかに下がった。一方、スイス企業が長期的に独占していた導電剤製品は、瑞盛新エネルギーが同種の製品を打ち出した後、スイス企業の製品の中国への供給停止が今年1月に発表された。
初戦勝利となったものの、「全産業チェーンモデルは始まったばかりに過ぎない」と張氏は気を緩めていない。
張氏は2010年、内蒙古のグラファイト鉱資源の統合を始め、まだ大規模採掘が始まっていない中国唯一の片状天然グラファイトの大型鉱「内蒙古興和グラファイト鉱」を入手し、さらにバヤンノール市烏拉特中旗のグラファイト鉱を統合した。張氏はこれで、中国のグラファイト資源の5分の1を一手に収めた。
張氏はさらに33億元を投入して、中国グラファイトハイテク産業バレーを建設した。張氏の将来的な計画は、中国唯一のグラファイト全産業チェーンの生産・開発基地を作ることにある。