過去2年間、中国の腐敗撲滅運動は急速に発展し、その範囲は拡大し、大がかりな措置が幾度もとられ、勢いは今も続いている。このことに、国際社会からも高い関心が寄せられている。中国の腐敗撲滅運動は、腐敗を減らし、政府の効率性を高め、政府の合法性を打ち立てるための「中国式ソリューション」を、多くの発展途上国と市場経済移行国に示すものとなった。中国の腐敗撲滅運動は、世界の腐敗撲滅運動をリードし、世界の腐敗撲滅運動における重要な一部分となっている。(文:廖燃・ノルウェー在住政治学者。環球時報掲載)
民営化ブームが到来した1980年代以降、西側諸国の政府は公共サービスの機能を市場に移譲した。しかしこれに対する監督管理機関が不足していたため、特に市場経済移行国において、腐敗の病巣を生み出す結果となった。これを教訓とし、国際金融管理・援助機関は各国の社会・経済発展の実効性を評価する新たな概念と指標を開発した。ここから、▽法の支配▽問責性▽透明性▽公開性▽効率▽説明責任――などの指標からなる「グッド・ガバナンス(良い統治)」の概念が生まれた。
中国の腐敗対策と全面的な改革推進が得た進展を、「グッド・ガバナンス」の指標を使って測れば、「八項規定」や「四風(形式主義、官僚主義 、享楽主義、贅沢主義の4つの風潮)の取り締まり」が「三公消費(公費による外遊、公務接待、公用車の購入・使用)」を効果的に抑制し、党内の良くない気風を正し、制度面での保障を打ちたて、グッド・ガバナンスの実現を推進し、「国民に奉仕、実務的、清廉」という理念を着実に実施する上で、実質的な成果を得たことがはっきりと見て取れる。中国が推進する腐敗撲滅運動は、中国だけでなく、全ての発展途上国・市場経済移行国にとっても重要かつ積極的な意義を持つ。
世界銀行の統計によると、腐敗が発展途上国にもたらす経済損失は200億―400億ドルに達し、かなり膨大な額になる。しかし、世界全体で9000億ドル以上の「異常な資金流動」と比べると、その額はとたんに小さく見える。これらの異常な資金流動の多くは、多国籍企業が発展途上国から巧妙な手口で奪い取った財産だ。これらの資金が監督管理を逃れ、「異常な流動」をしているわけは、西側諸国の成熟した闇金融システムが手を貸しているからで、タックスヘイブン、ダミー会社、ダミーアカウント、ミラーファンドなどがここから利益を得ている。