氷に覆われ寒風が吹く南極大陸に、初の温室が誕生した。中国南極科学観測隊に同行している上海都市緑色工程有限公司の隊員は、「上海温室」が長城基地でほぼ竣工したと報告した。これまで極地に閉鎖型温室を建設した国はなかった。解放日報が伝えた。
通常の温室と異なり、「上海温室」の採光材はガラスではなく、航空機の窓に使われる透明の中空プラスチック板が採用された。その光の透過率は90%以上に達し、保温性が高く、暴風雪に耐えることができる。プロジェクトチームは南極に向け出発する前に、上海市科学技術委員会などの支援を受けリサーチを行い、崇明島に同スケールの温室を建設し試験を実施していた。それ以前には、風力14級(41.5~46.1m/秒)に耐えうる十数棟の温室が、南沙諸島・西沙諸島を守る兵士の「野菜問題」を解消していた。
都市緑色工程公司の研究者は、「南極では太陽光が利用可能な期間は半年のみで、さらに長い白夜の影響もある。一年を通じて野菜を食べようとするならば、人工の照明が必要だ。そのため上海温室は上下の層に分かれており、自然光と人工光を集める。そのうち人工光はLED光源を採用し、異なる野菜の需要に応じて光を調節することができる。これは省エネかつ効率的で、南極条約の環境保護の要求に合致する」と説明した。
同プロジェクトに参与している上海市の4人の隊員は、今年3月の期間前までにきゅうり、トマト、ピーマン、その他の葉菜類を植え、さらに科学観測隊員の農作業の研修を行う。4人の帰還後、野菜に何か問題が生じた場合は、室内のカメラで画像を撮影し上海に送信することで、遠くから診断・指導してもらうことが可能だ。「上海温室」でスイカやイチゴなどの果物が栽培されることも、もはや夢物語ではなくなっている。
長城基地が率先して屋外温室を導入し、その後さらに基地建設・補給・生活などでより厳しい条件が存在する中山基地に、この経験を応用することになる。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年2月9日