日本は安倍首相の戦後70年談話発表に向けた準備として、「有識者懇談会」の初会合を開いた。「有識者懇談会」の正式名称は「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」。安倍政権の選んだ有識者16人からなり、今年8月の「安倍談話」について提言と参考意見を示す。だが安倍氏が「有識者懇談会」をかき集めた本当の意図と実際の効果に疑問の声が多く上がっている。(文:賈秀東・本紙特約論説員、中国国際問題研究院特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
ここ数カ月の安倍氏本人を含む安倍内閣の発言から見て、安倍談話は「三段式」談話となる可能性が高い。第1部は歴史認識関連、第2部は戦後日本の歩み、第3部は未来志向の話が中心だ。現時点で見ると「三段式」談話の重点は第2部と第3部にある。すなわち戦後日本の「平和の歩み」と国際社会への「貢献」、および安倍氏が特にお気に入りの「積極的平和主義」を大いに語る一方で、第1部はできる限りうやむやにする。つまり村山談話の核心部分である「植民地支配」「侵略」「おわび」といったキーワードは極力回避するということだ。安倍氏は1月末にNHKの番組で「植民地支配と侵略などの表現を継承するか」との司会者の質問に「(重点は)今まで重ねてきた文言を使うかどうかではなく、70年を迎えるにあたり安倍政権としてどう考えているかだ」と述べた。
やはり安倍氏は口先では村山談話を「全体として引き継ぐ」とする一方で、実際には村山談話の核心的な部分と精神を「選択的に覆す」考えなのだ。村山談話は当時の日本の政府と世論の主流の侵略の歴史に対する総括と反省を代表しており、日本と被侵略国との間の和解実現に重要な環境を整えた。だが日本右翼勢力は村山談話に頭を悩ませ続け、安倍氏も再三「侵略定義未定論」をまき散らし、「植民地支配」「侵略」「慰安婦」などの表現に抗い、さらには靖国神社参拝によって日本軍国主義の招魂を行った。正しい歴史認識なしに未来について大口をたたくのなら、安倍談話は成立の基礎を欠く。
軍国主義による侵略の歴史と明確に一線を画すことは、日本がアジア近隣国との関係を発展させるうえでの重要な政治的基礎であり、日本の外交政策の方向性を鑑定する試金石でもある。歴史をどう扱うかについて手本となるのがドイツだ。戦後ドイツはファシズムによる侵略の歴史に対して徹底的な否定と反省の姿勢をとった。また、被害者に誠実に謝罪して、歴史の重荷を下ろしたことで、ようやく欧州の和解を実現した。日本に関しては、戦後70年近くの事実は、中韓などアジア諸国が日本の侵略の歴史の問題をつかみ続けて放さないのではなく、中国が歴史問題を日本批判、日本抑止のカードにしようとしているのでもなく、日本自身が過去をしっかりと正視できないことを物語っている。言い換えるなら、日本に長い間歴史の重荷を背負わせているのは、他国ではなく、勝手に侵略の歴史をうやむやにし、美化している日本の政治勢力なのである。王毅外交部長(外相)が先日国連安保理の公開討論で発言したように「当時の反ファシズム戦争の史実についてはすでに公論があるのに、いまだに認めたがらず、さらには侵略について確定評価を覆し、罪を逃れようとする者がいる」のである。
世界反ファシズム戦争ならびに中国人民抗日戦争勝利70周年にあたり、中国も国際社会も日本の侵略の歴史について安倍政権がどのような姿勢をとり、どのようなメッセージを発するのかを注視している。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年2月26日