▽円安は底なしではない
――報道によると、日本は大規模な量的緩和政策をさらに推し進めるとのことだが、円安には底がないのだろうか。
陳所長:このことについては日本のインフレ状況をみなくてはならない。インフレの程度が低ければ、さらに量的緩和を進める余地があるし、そうでなければ余地はない。日本は債務問題に直面しており、インフレになれば支払うべき金利コストが増大する。
よって、日本が無制限に量的緩和を進めるとは思わない。日本の第1四半期の経済成長率2.4%はなかなかのものだが、これは特殊な状況だといえる。日本にとって、量的緩和は間に合わせの策に過ぎない。通常の手段でうまくいかなくなった時、非常手段を徐々に積み重ねることになるが、こうしたプロセスはいつかは終わるのだ。
▽競争的な円安の可能性あり
――円安がアジアに「通貨戦争」を引き起こすリスクを増大させるか。
陳所長:アジア通貨の競争的な値下げは客観的にみて存在するが、「通貨戦争」というのは国家レベルの話だ。競争的な円安という方法を採るのは、まず自国の商品の輸出時の競争力を高めるためであり、より多くの外資を獲得するためだ。
アジア諸国にとってみれば、現在の通貨の競争的な値下げの前提は、おそらく円ではなくドルだ。円はアジアの通貨市場を左右することはできないし、世界の通貨市場を左右することもできない。通貨市場を左右できるのはドルだけであり、ドルが最近ずっと値上げ傾向を持続させていることが前提となる。ドルに比べ、他の通貨はみな値下がりしている。円の値下がり幅がとりわけ大きい。