世界大手の組織・人事コンサルティング会社・マーサーは17日、「2015年世界生計費調査」の結果を発表した。為替レートの大幅な変動を受け、東京やモスクワなどがトップ10から姿を消したのに対し、香港が2位、上海が6位、北京が7位に入った。
今年で21年目を迎える同調査は、207都市において住居費、交通費、食料(コーヒー1杯の値段やハンバーガーセットの値段など)、衣料、家庭用品、娯楽費用(映画1席の値段)などを含む200品目以上の価格を調査し、それぞれを比較している。不動産価格や物価などを考慮し、多国籍企業が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されている。
東京が上位10位から姿消す
東京は過去約20年間、世界で最も物価の高い都市の1つだった。例えば13年の同調査では、3位に入っていた。しかし、円安の影響から、昨年は7位、今年は11位にまで順位を下げた。
統計によると、円相場が最近、一時1ドル=125円台後半をつけ、およそ13年ぶりの円安ドル高水準となった。日本に住む中国人留学生や中国人観光客が現在、日本で元を円に変えて買い物すると、昨年より2割安になる計算となっている。
今年の調査で、昨年3位だった香港は2位に、10位だった上海は6位に、11位だった北京は7位に、それぞれ順位を上げた。
マーサーは、「為替レートの変動が、生計費ランキングに影響を与える重要な要素。今年は特にその影響が大きかった」と分析している。
特筆すべきは、ウクライナ危機に関する米国や欧州諸国の制裁による通貨の信認の低下や、原油価格の下落によりルーブルの対米ドル価値が大幅に下落し、モスクワは昨年の9位から順位を41下げて50位となった点だ。
為替レートの変動により、順位を上げた都市もある。今年1月、スイスはスイスフランのユーロに対する急激な上昇により、「フラン売り・ ユーロ買い」の無制限介入を中止し、その他の主要通貨に対しても、自由に変動するのを容認したため、ジュネーブが5位に、チューリッヒが3位に入った。また、スイス南西部の都市ベルンは、北京、ソウルに続く、9位に入っている。