2016年2月1日  
 

中日対訳健康知恵袋 企画集 北京のお気に入り

Apple新浪騰訊人民LINE微信RSS
人民網日本語版>>中日フォーカス

日本におけるシルクロード文化 (3)

 2016年02月01日08:42

日本で最初の人文科学の教科書、すなわち中国から伝わった四書五経などの古典には、黄帝妃によって始められた養蚕が民間に広く伝わった、と記されている。明らかに、この上古の美談はシルクロードの原始要素が下敷きになっており、それとリンクしている。日本最古の史書『日本書紀』にも養蚕についての記載がある。それによると、日本の天皇が皇后に桑を摘ませ、養蚕をするよう勧めたという。したがって、皇后による養蚕祭祀の儀式は8世紀初頭の御所で始まったことになる。

民間の養蚕と染織技術は3世紀まで遡る。大陸から日本に渡った技術工の指導の下で、日本の養蚕絹織物業は長い年月を経るうちに盛んに発展していった。1859年に横浜が開港した時、生糸は日本の輸出品として主要な位置を占めていた。明らかに、歴代皇后が受け継いできた養蚕は、伝統文化の継承だけでなく、日本の経済収益にも貢献したのである。中でも、今上天皇の皇后である美智子皇后の貢献は特に顕著だ。美智子皇后は絶滅の危機に瀕している日本の野生品種「小石丸」を飼育し、皇室養蚕所でつむいだ生糸を正倉院に提供した。この生糸は代々伝わる宝物の復元と修理に用いられた。当然、宝物の一部はシルクロードと中国から伝わったものだ。また、宮中祭祀で使用される装束や外国元首への贈り物にも皇后が飼育した蚕からつむいだ生糸で織られ、縫製されている。

皇室と養蚕のこのような伝承関係に鑑み、皇后は蚕についての和歌を数多く詠んでいる。どの歌も皇后の心情と志が託されており、養蚕の歴史に触れ、伝統を受け継ぎ未来の発展の道を開こうという心情を歌い上げている。わずかではあるが、ここに四首紹介しよう。

真夜こめて秋蚕は繭をつくるらしただかすかなる音のきこゆる

音ややにかすかになりて繭の中のしじまは深く闇にまさらむ

籠る蚕のなほも光に焦がるるごと終の糸かけぬたたずまひあり

くろく熟れし桑の実われのてに置きて疎開の日日を君は語らす

「シルクロード」の経験は私たちに次のような示唆を与えてくれる。激しく移り変わる世の中で、砂金を振るうがごとく幾たびも選り分けられてなお時空を貫いて伝えられるのは、開放的で、互恵的で、寛容かつ進取の気概に満ちた文化だけなのである。文:王敏・法政大学国際日本学研究所教授 )

「北京週報日本語版」2016年2月1日


【1】【2】【3】

関連記事

コメント

最新コメント