このほど中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露副総裁が両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)開催中に流れた高額紙幣発行に関する噂について、人民銀は高額紙幣を発行する計画は無いと明言した。これに対し、専門家も「貨幣の額面は一国の経済と国民が使用する際の利便性を十分に考慮する必要がある。額面が大きければ大きいほど良いというものではなく、中国には額面の大きい高額紙幣を発行する必要性が無い。また安全性と技術の発展を考慮すると、電子取引は今後、大口取引のニーズを十分に満たすことが可能であり、これも将来的な発展の大きな方向であるに違いない」と指摘した。人民日報海外版が伝えた。
「高額紙幣」の市場ニーズ無し
高額紙幣は世界においても一部の経済体制で発行され、今も使用している国家は少なくない。しかしながらやはりその国の実際の発展状況に基づくものである。中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇センター長は「一般的に国が額面の大きい貨幣を発行するには2つの可能性がある。1つはその国に深刻なインフレが生じ、その国の中央銀行が額面の大きい貨幣の発行を選択せざるを得ない場合。もう1つはその国の富が急激に増加したことで、貨幣不足が生じた場合だ」と指摘した。
では中国にはこのようなニーズがあるだろうか?郭センター長は「中国は現在CPI(消費者物価指数)の勢いも穏やかで、インフレのリスクは無い。また経済も現在基本的に7%前後のやや速いスピードでの成長を維持しているものの、国民の富の成長は比較的穏やかで、貨幣の供給も正常である。そのため、中国は現在、額面の大きい貨幣を発行する必要性が無い」と語った。
また高額紙幣を突然発行することはインフレ予想を高める恐れがあり、経済の発展秩序全体を乱すことになる。専門家は高額紙幣の発行は国民に「お金の価値がますます低くなる」という心理的な暗示を与えやすく、一旦そういった予測が生まれると、物価の上昇につながる可能性があると指摘している。