仏教には「一花一世界、一葉一菩提(1輪の花に世界があり、1枚の葉に仏が宿る)」という仏教の教えがある。現実においては一枚の葉を通してこの世の様々な素晴らしさを悟るのはとても難しいのだが、葉彫という古い伝統芸術はこれを現実なものにしてくれる。5月21日、河南省鄭州市の民衆文化活動センターで生き生きとした小鹿、うっそうと茂る森、活発な魚、落ち着いた漁師など、ありとあらゆる広大無辺な世界は葉彫職人の手によってそれぞれの葉の上に彫られており、それぞれが独特な魅力を静かに醸し出している。
これらの作品はみんな、葉彫の継承者劉政さん(29)の手によって生み出されたという。河南省周口市の葉彫職人の家に生まれた劉さんは、幼い頃から彫刻芸術に対して深い興味を持っていたので、大学ではデザインを専攻した。卒業後、3千年の歴史を持つ葉彫の技能が消滅の危機に直面していることを知り、デザイナーとしての安定した仕事をあきらめ、葉彫研究に専念、この古い技能に新たな命を吹き込んだ。
劉さんは、「葉彫の製作工程は非常に複雑で、1点の作品を製作するのに数十日から数カ月を要する。工芸の複雑さ、製作期間の長さ、後継者不在といった要因が葉彫職人がほぼいなくなった原因」と話す。
葉と一緒に過ごす日々で、劉さんは葉に関する多くの芸術表現方法を試して紹介しようという考えが段々と芽生えてきた。「葉脈画の製作、葉脈のブックマーク、木の葉の絵付け、木の葉化石の収集など、様々な葉の創作スタイルで大自然を心から愛し、自然を保護する意識を呼び起こしたい」と、劉さんは語る。(編集JK)
「人民網日本語版」2016年5月23日