家族に戦争経験者
1947年に、大阪で生まれた松岡さんは、典型的な戦後のベビーブームの世代。戦争に参加した家族もいる。例えば、父親は44年末に徴兵され、海軍として朝鮮半島に送られた。また、母方のおじも中国へ行った。そんな彼女が戦争について初めて知ったのは、5歳の時におじの写真を見た時だ。その写真には軍服を着て、戦闘用のナイフを持ち、意気揚々とするおじが映っていた。
戦争に負けた日本人は複雑な気持ちに襲われた。街は戦争の傷に満ち、人々は国を富ませ栄えさせようと躍起になっていたものの、悲劇でしかなかった戦争について、元兵士たちの多くは口をつぐみ、家族も「恥」と感じて、言及することはなかった。
そして、日本政府も国民に戦争の真相を説明してこなかった。「子供の頃から大人になるまで、戦争というと『連合国に負けた』としか教えられず、中国を侵略したことには触れられなかった」と松岡さん。
臭い物に蓋をされたため、戦後に成長した世代の日本人は、侵略された国の人々の憤りを全く理解できないという状況が起きてしまった。松岡さんもそのような環境で育ち、関西大学文学部に入学して東洋の歴史を学んだ時に、初めて日本が中国を侵略したことを知った。そしてその時に、戦争の真相に対する疑問や好奇心が、松岡さんの心に生まれた。
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