同白書は、「過労死」の認定には高い壁があることも示している。15年度、厚生労働省が過労自殺(未遂も含む)で労災認定したのは93件に上る。しかし、その一方で、警察庁や内閣府がまとめたデータによると、勤務問題に起因する自殺は同年に2159件もあった。
労働時間が長いほど、仕事の効率がよくなるわけではない。日本の会社員の労働時間は毎年2000時間以上。これに対して、ドイツは1300時間、フランスは1400時間。しかし、日本の会社員の労働生産率は、主要7カ国(G7)のうち最低で、14年の労働生産性(就業者1人当たりの名目付加価値)は、就業1時間当たりで41.3ドル(約4130円)で、米国より4割少ない。
「過労死問題」は、1980年代後半から日本で注目を集め始めた。88年に改正された日本の「労働基準法」は、「1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」と規定し、同年、「過労死110番」という全国電話相談ネットが立ち上げられた。06年から施行された改正版「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」は、労働時間の短縮だけでなく、多様な働き方に対応し、労働者の健康と生活に配慮できるよう、労働条件改善も促進している。また、14年11月から日本で施行された「過労死等防止対策推進法」は、国や政府、地方公共団体に過労死対策を義務づける内容となっている。
「日本経済新聞」は、「過労死問題」を解決するためには、労働時間で報酬が決まる制度の改革を進め、労働の效率と成果をもっと重視するようにしなければならないと指摘している。日本の国会では現在、「働き方改革」が話し合われており、労働者が仕事と生活の調和を取れるよう、在宅勤務制度やフレックスタイム制などを採用するよう企業に奨励している。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年10月13日
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