「7年がたった一日のように感じる」と話す克珠多傑さん(21)は、毎日食事と睡眠以外の時間はキャンバスの前に座り、顔料をつけた筆をとり、心の中にある仏の姿を一筆ずつ描いている。一見するとつまらない生活にも見えるが、克珠多傑さんはこんな地道な日々をただひたすら過ごし続けている。中国新聞社が伝えた。
克珠多傑さんはタンカ(チベット仏教関係の掛軸)絵画の技術を研究してもう7年になる。西藏(チベット)でも数少ない優秀なタンカ絵師の一人であり、現時点でチベットの最年少一級タンカ絵師だ。
タンカはチベット文化の「百科全書」と称されており、中華民族文化遺産の中でも貴重な存在だ。タンカ芸術はチベット伝統絵画の主な代表であり、現在、チベット族タンカの中で勉唐派、欽孜派、嘎瑪嘎赤派、勉薩派、さらにラサ市墨竹工■県(■は上と下が上下に組み合わさった字)の刺繍タンカなどが国家級無形文化遺産リストに相次いで登録されている。
克珠多傑さんはラサ市当雄県のごく一般的な牧畜民の家庭に生まれた。しかし幼いころから絵を描くのが好きで、14歳にはチベット一級タンカ絵師・洛桑桑嘎氏のもとでタンカを学んだ。
師匠のもとでタンカの技術を学んでいる間、克珠多傑さんは毎日朝早く起きて顔を洗い、その後お香を焚いて念仏を唱え、身を清める日課を欠かさずにいたという。克珠多傑さんからすると、これはタンカに対する最上の尊敬であり、自身もタンカを篤く信仰していたので続けられたという。
2015年、克珠多傑さんは「チベット一級タンカ絵師」の栄誉ある称号を獲得し、チベットで最年少の一級タンカ絵師となった。
将来について、多くのタンカ絵師はさまざまな答えを口にするが、克珠多傑さんはこの問題に関して少しも焦って考えていないようだ。克珠多傑さんも巨匠レベルのタンカ絵師を目指しているが、7年の勉強だけではまだ足りないとしている。克珠多傑さんは、「今はインターネット技術も日増しに発達し、各地の優秀な絵師との交流もますます便利になってきている。目の前のチャンスを大切にし、謙虚な姿勢を持ちながら学び続け、より完璧さを求め続けることで、目標にさらに近づけるようになる」と語った。(編集YK)
「人民網日本語版」2016年12月29日
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