米国で次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏の態度表明により、米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱することがほぼ確実になった。これについて、日本の安倍晋三首相は極力冷静さを保ち、21日にアルゼンチンを訪問した際の記者会見では、「米国抜きのTPPでは意味がない」と述べながらも、他の加盟10カ国に対しTPPの批准を呼びかけた。「国際商報」が伝えた。
安倍首相がTPPの継承者になり、米国からバトンを引き継ごうとしているのは明らかだ。今月10日には日本の衆院本会議がTPP法案を可決した。だが日本の思い通りになるだろうか。
▽日本はTPPに大きな期待
安倍首相にとって、TPPはその政治的キャリアにおける力強さの象徴だ。
中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・副研究員は、「現実主義の政治家として、安倍首相の就任以降のいくつかの戦略的選択にはこの現実主義の側面が目立ち、戦略の中心を米国に移し、米国の『アジア回帰』戦略を支持したことや、日米同盟を戦略的にバージョンアップさせ、日本全体の国家戦略の重点をTPPと対米外交に置いたことが含まれる。だが安倍首相が思いもしなかったことが起き、トランプが当選して計画を粉々にした。経済の面では、TPPはアベノミクスの第2の矢の主要目標であり、非常に重要なものだ」と説明する。
劉副研究員はさらに掘り下げて、「アベノミクスは初めは主に金融政策の量的緩和によって経済を推進し、次は構造改革に向き合ってより大きな成功を獲得することを目指した。日本は人口が高齢化する困難な現実の中で、国内の改革だけに頼って経済成長を実現することは難しい。そこで、安倍首相は国際化の道を歩むことを考え、TPPという戦略を通じて米国をASEAN市場に引き入れると同時に、中国をTPPから排除し、ASEAN市場における中国の優位性を最大限に弱めようとし、ひいては日米両国が東南アジア市場のメリットを安定的に享受し、労働力という製造業の基盤のメリットを享受することを目指した。これは日本にとっては経済的意義のあることで、政治的な安全保障という意義もあった。言い換えれば、安倍首相は『退路を断って』TPPを重要な戦略的位置に置いたのだ」と続ける。
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