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第17回日中友好中国大学生日本語科卒業論文コンクール審査委員の所感 (3)

人民網日本語版 2017年11月02日09:13

3.2017年卒業論文 社会文化 講評

文化社会の論文の内容は2本が歴史学であった外は、全て社会・文化学であった。どの論文も各大学の最優秀論文だけあり、全体的に見て規範性の高い卒業論文が多かった。また、外国語である日本語で、これほどまでに立派な卒業論文を書いていることに感動を覚えた。以下、

41号論文「中国同盟会の分裂騒ぎと北一輝」

本論文は、歴史分野の論文である。新しい資料の発掘や発見は見られず、先行研究のまとめが巻末に付録として付加されている等、論文の規範性には難があり、内容も背伸びした印象はあるものの、完璧な日本語で書かれており、既存の研究を頑張ってまとめた点が高く評価できる。全体として学部生が書いたものとは思い難いレベルであり、形式の不備を補って余りあった。将来、歴史学の研究者として期待できる逸材である。本人の努力は勿論であるが、指導教員の力量と指導に負うところも大きかったのではないか。

21号論文「日本における留学生を対象とした地震防災教育の一考察――熊本大学とフジ国際語学院を参考に」

本論文は、留学生を対象にした地震防災教育である。地震災害のあった熊本を対象としており、タイムリーなテーマ設定である。実地でのアンケート・インタビュー調査を主軸として形作られている。日本人としての視点で見ると、内容としては特段新しいものはないが、先行研究のまとめや論文の規範も整っており、全体的に卒なくまとまっている。卒業論文として完成度がとても高く、日本語も非の打ち所がないため、高得点につながった。

39号論文「ソーシャルメディア環境下での情報伝播のメカニズム」

本論文は、研究手法に特徴が見られた。テキストマイニングという分析手法を用いてネット上の議論形成プロセスを述べたものである。この論文の優れた点は、分析対象の設定と、ソフトウェアを使用しての分析手法にある。先行研究を踏まえた上での論の構成も優れており、卒業論文としての規範性もある。本論文もネイティヴのように自然な日本語で書かれている。ただ、新しい分析手法やデータに振り回された感があり、データをうまく生かし切れておらず、論文としてやや惜しかった部分があった。

43号論文「近代初期における日本仏教とキリスト教の関係」

二本あった歴史を扱った論文の一本。新しい発見こそないものの、卒業論文として規範性に優れ、手堅く論を進めている点が評価できる。本論文は入賞こそ逃したが、好印象の卒業論文であった。

23号論文「中国人大学生のスマートフォン依存とストレスの関係」

本論文は仮説モデルを立てて、それをアンケート調査から得たデータを基に、統計ソフトを使用して確かめ、仮説モデルを修正していく手法が用いられている。日本語の上手さは勿論、日本語専攻の学生が社会学の専攻学生のような統計学的手法を取る論文に果敢に挑戦した点が大いに評価できる。社会学の論文として見るならば完成度に難があるが、日本語専攻生の卒業論文としては高く評価できる論文である。

(津田量 北京第二外国語大学准教授)


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