2018年度の中国全国における大学卒業生の数は820万人に上る見込みで、「95後」(1995年から1999年生まれ)がついに労働市場に進出する。現在、各大学では秋冬期の学生募集が徐々に終わりに近づいている。過去1ヶ月間にキャンパス説明会で調査したところ、「80後」(80年代生まれ)や「90後」(90年代生まれ)と比較した場合、95後は就職への切迫度が明らかに低く、卒業生の一部は「ゆっくり就職」現象がみられることがわかった。「中国青年報」が伝えた。
大学を卒業し、働いて稼ぎ、両親に恩返しをして、自分の家庭をもつというのが、いわゆる一般的な「人生のあるべき姿」だ。だがここ数年、「卒業しても働かず、実家に戻って親のすねをかじる」大卒者が増えており、特に95後でその傾向が顕著で、明らかに異常な事態だといえる。メディアはこうした「ゆっくり就職」現象について、「両親の面倒を見る」などと取り繕った言い方をしているが、実際には「両親のすねをかじる」ことに他ならない。しかしながらこの「すねかじり」にはやむを得ない一面もあるといえる。「ゆっくり就職」現象の背後には、現代の大卒者の就職への焦りの気持ち、不安な心情を垣間見ることができる。
百万元(1元は約17.0円)以上をかけて教育を終えながら、2千元程度の安い初任給。両者は強烈なコントラストをなし、海外留学から帰国した「エリート」は敢えて家で「両親の面倒を見る」道を選ぶ。「ゆっくり就職」を選ぶ大卒者のうち、こうした心境の人は少なくない。就職の門戸は狭く、自分の専門にも合わず、賃金も低いとなれば、人生の岐路で迷い、徘徊してしまうことも致し方ないと言える。彼らは確かに「すねかじり」であり、何にも縛られず悠々自適にみえるが、実際には学問を修めても、自分の力を発揮できるふさわしい職場やポジションが見つけられず、両親に恩返しをし、社会に貢献することもできない。彼らの心の奥深くには、実は親世代よりも強い焦りと不安の気持ちが隠されている。
このほど中国のある文化事業機関が全国の大卒者を対象に職員を4人募集した。機関側は応募者が大勢押し寄せ、競争は熾烈なものになると考えていたが、いざふたを開けてみると応募者はたった9人。3対1にもならない競争率で、同機関にとっては大変意外な結果に終わった。だが大卒者が応募しなかった理由を理性的に分析することで、機関側も結局は納得することになった。自分が他の地域出身の大卒者だとして、幾多の困難を乗り越えて、同機関に就職できたとしても、初任給は2600元に満たず、これで部屋を借り、食事をし、通勤と携帯などの費用を捻出し、各種保険に加入し、さらに両親に仕送りもしなければならない……「こんな就職ならしない方がマシ」と、彼らは考える。95後が職業選択にあたってよく考えるのは、自分の専門と仕事との関連性、そして給与だ。
こうした「ゆっくり就職」現象に対し、このような選択をした人々に対し、もっと寛容に理解を示すべきなのかもしれない。政府や社会はもっと多くの措置を打ち出して、大卒者に彼らの特技を発揮できる雇用機会を提供すべきだ。より重要なことは、包摂的な政策を実施し、所得分配制度の改革を加速推進し、「所得倍増計画」を実行し、業界格差を縮小することだ。こうしなければ、大卒者の「ゆっくり就職」現象を合理的なレベルにコントロールすることは難しいだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年12月18日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn