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日本も税制改正 米国に追随して減税進める (2)

人民網日本語版 2017年12月19日08:28

▽有効性に疑問

劉客員研究員は、「これまでのいくつかの経済政策の下で、日本企業の収益はかなり増加したが、内部留保した収益が賃金に回されて賃上げに結びつくことはなく、ひいては社会消費に回ることもなかった。この背後にある根本的原因は日本経済に存在する構造的問題だ。今回の税制改正は賃上げ、設備投資の増加という条件をはっきり打ち出したが、実際に期待されたような効果を上げるかどうか、企業が日本で投資や生産をしたいと思うかどうかには、疑問符がつく。制約がたくさんあり、最も重大なこととして日本は深刻な労働力不足であり、企業が日本国内での投資を増やそうとすると、往々にして働き手が集まらないという状況に陥る。こうした状況の中、日本企業が国内投資を増やすかどうかは大いに疑問だ」と指摘する。

劉客員研究員の見方によると、「米国や欧州が自身で巨大な消費市場を抱えているのと異なり、日本市場は飽和状態に近く、企業が投資を増やすかどうかは消費と収益バランスをはかった上での選択になる。これも日本企業の海外投資がトレンドになっている理由だ。こうした状況の下、より多くの企業が国内投資を行うかどうかには疑問符を付すべきだ。なんといっても米欧諸国も法人税率を引き下げている」という。

日本企業はこうした状況を極力避けようとしているようにみえる。というのも政府の法人税率引き下げの最大のターゲットはモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などの革新分野に投資する企業だからだ。劉客員研究員は、「企業の研究開発投資の拡大についていえば、税率を20%に引き下げることには一定の意義があるが、研究開発投資はさまざまな要因と関わりがあり、たとえば企業が当該分野の研究開発能力を備えているか、教育や人材は十分であるか、ふさわしい制度があるかどうかなどをみなければならない。税金はそのうちの一部分に過ぎない」と指摘する。

劉客員研究員は別のポイントにも注目し、「企業の法人税を引き下げる行為には実際のところ貧富の格差を一層拡大する可能性があるといえる。企業が賃上げをしない、または賃上げするための資金や能力が不足しているという場合には、税率の優遇措置を受けられず、企業の収益も低下することになる。多くの中小企業には確かにこうした難問が存在する。ここからわかるのは、すべての企業が賃上げをできるわけではなく、賃上げによって社会全体の消費ニーズを促進するという前提が完全には成り立たないということだ。これと同時に、日本政府が他の分野での支出を削減したり収入を増やしたりするなら、減税により財政赤字の規模が一層拡大することになる。これは過去2年間に国際格付け機関が日本国債の格付けを引き下げた理由の1つだ」と述べる。

注視されるのは、税制改正と同時に、安倍政権は個人所得税引き上げと今後数年間の一連の増税計画も決定し、膨らみ続ける社会保障費にあてようとしていることだ。政権の予測では、こうした税金プロジェクトが日本に2800億円の税収をもたらすという。20年度に発効する個人所得税の引き上げプランの場合、毎年約900億円の税収をもたらす見込みで、年収850万円以上の人々が対象になるという。また安倍政権は19年度より、出国する観光客から一人1千円の出国税を徴収して、旅行インフラの改善にあてるとしている。(編集KS)

「人民網日本語版」2017年12月19日


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