劉客員研究員は、「日本のこのたびの税制改革は賃上げ、設備投資の増加を前提としていることは明らかで、企業が内部留保する収益が莫大であることと賃上げが進まないこととの矛盾を解決しようとするものだ」と指摘する。
▽潜在的危険はまだ解消されていない
日本政府が今月19日に発表した18年度経済見通しでは、17年度の成長率予測がこれまでの1.5%から1.9%に上方修正され、18年度の予測も1.4%から1.8%に引き上げられた。
日本の内閣府がこのほど発表した17年第3四半期(7~9月)の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動要因を考慮した実質で前期比0.6%増加、年率換算で2.5%増加となり、7四半期連続のプラス成長となり、また1994年の第2四半期(4~6月)以降で最長の成長周期を記録した。
こうしたデータからはっきりとわかることは、世界経済の回復傾向に牽引され、日本経済も復興の動きをみせているということだ。
だが日本経済はなお多くの問題に直面してもいる。劉客員研究員は、「一方で、社会の高齢化が日本に深刻な労働力不足をもたらし、日本企業は人を集められない状況にしばしば陥っている。米国や欧州が自前の巨大な消費市場を抱えているのと異なり、日本市場はすでに飽和状態に近づいており、日本企業は資金を海外市場に投入することをより強く願っている」と説明する。
また一方で、今年下半期には、日本の製造業の複数の企業がデータ改ざんなどの不祥事を起こし、かつて無限の輝きを放った日本の製造業が光を失うことになった。日本が長期にわたって積み上げてきた品質と信頼への評価が、打撃を受けている。
商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長(研究員)は、「日本経済は製造業の基礎の上に構築され、日本製造業が世界で宣伝する『売り』は品質、信頼、製品の精密さだ。しきりに報じられる製造業の不祥事が日本製造業のイメージに影響を与えることは確実だ。特に今回の神戸製鋼所の性能データ改ざん問題は、製品の応用範囲が高速鉄道、宇宙航空、自動車などの重要分野に広がっているため、日本製造業や関連産業に打撃を与えることは間違いない。だが、この問題が日本製造業の精密さや研究開発水準が多くの国をはるかに上回るという現実を変えるものではないという点は直視しなければならない」と指摘する。
また巨額の借金も日本の経済成長を制約する。経済の回復を促すため、日本政府はここ数年、さまざまな経済喚起プランを打ち出してきた。これと同時に、高齢化問題が引き続き社会保障の負担を増大させ、こうしたことから日本政府の財政支出は増える一方で、現在の日本政府の税収では財政支出の3分の2しかまかなえておらず、日本政府は毎年国債を発行して財政運営を維持することを余儀なくされている。今年6月末現在、日本の中央政府と地方政府を合わせた債務残高は1078兆円に達し、GDPの2倍に相当し、財政の厳しさを物語る。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年12月25日
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