上海の語言文学雑誌「咬文嚼字」がこのほど、2017年「流行語トップ10」を発表し、「不忘初心(初心を忘れず)」や「砥砺奮進(錬磨と奮進)」、「共享(シェア)」などがランクインした。
今年の流行語の選出はスムーズに進み、初めて華東師範大学と上海師範大学で結成される専門家チームの候補がほぼ一致したという。専門家達は、例年と比べ、誰の選んだ流行語にするかといったような熱い議論もほとんどなかったのは、流行語候補が少なかったためとの見方を示している。流行語が「パンク状態」から「少数」になったことは何を意味するのだろうか。また、その背景にはどのような社会や文化的な要因が反映されているのだろうか。
語言文化専門家の郝銘鑑氏は、「流行語は10年前の『パンク状態』から現在は次第に安定さを見せてきており、『多数の年』から『少数の年』へと歩みを続けている。これはまた高度に安定した社会を体現しており、人々が理性的になり、その言葉も規範化へと歩みを進めているため、必然の結果と言えよう」としている。
郝氏は流行語選出の発案者であり、「咬文嚼字」の前編集長でもある。彼は、「10年前、『咬文嚼字』が中国で初めてとなる流行語ランキングを作成した当時、中国の言葉も文字もまさに『パンク状態』と言えるほどで、1日あたり平均で3つの新語が生まれるといった状態だった。そんな状況下で、年間流行語の選出は始まるべくして始まった。その当時、流行語の選出は異常と言えるほど厳しいもので、どの単語をランクインさせるかで、専門家たちの間で半日以上かけて激論が交わされるということもしばしばだった。しかし去年、最初の選抜段階で集まった流行語候補は200語で、今年はさらにそのおよそ半分まで減少している」としている。
そして、「言葉とは1種の媒体であり、社会の現実と人々の感情を体現している。流行語が次第に安定している現状から、社会的な感情における、未熟で衝動的な部分が減少してきていることが見て取れる」との見方を示した。
10年前の中国はインターネットが急速な発展を見せ始めていた時期であり、中国全土が高度成長期にあった。当時の流行語の「パンク状態」とこのような社会的な実情や時代の状況は深く結びついている。これまでの流行語を見てもそのほとんど全てが時事問題と深く関係しており、そうした言葉が人々の間で話題となり、スピーディに拡散されるSNSで広まっていった。数年前の流行語である「不差銭(お金の問題ではない)」や「給力(すごい!)」、「小目標(小さな目標)」といったホットワードがまさにその代表的な例と言えるだろう。今年ノミネートした流行語の中で、「不忘初心(初心を忘れず)」と「砥砺奮進(錬磨と奮進)」は人々が国家の運命とこの先の未来に対すると関心と情熱を反映しており、「共享(シェア)」はシェアエコノミーという新たな経済モデルが中国の人々の日常生活に大きな影響を与えたことと関係している。
華東師範大学中国語学科の徐默凡准教授は流行語の変化の経緯について、社会言語学の角度から、「流行語の質にここ2年ほどで変化が生じている。流行語はもはやネットユーザーがチャットするときにだけ使うようなおかしな言葉ではなくなり、一般の人々の日常生活にまでより広く浸透している」と解説した。
また専門家たちは、流行語の出現頻度の低下は、今の若者世代がある一定の程度で成熟さを目指していることを反映しているとしている。(編集TK)
「人民網日本語版」2017年12月22日
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