英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」の22日付の報道によると、米Webサービス会社のアマゾン・ドットコムは、中国のSF作家・劉慈欣の長編SF小説「三体」のドラマ化を計画しており、そのために10億ドル(約1050億円)を投じるという。アマゾンは現在、「三体」の著作権をめぐる交渉を行っているという。
「三体」は、「地球往事三部作」シリーズの第一作で、第二作は「三体II:黒暗森林」、第三作は「三体III:死神永生」。人類は、地球と最も近い恒星系の惑星に生きている異星人・三体星人と関わりを持ち始めて以降、数世紀の奮闘を経て、残酷で危険に満ちた宇宙で生き残るための道を模索するというストーリーだ。
同作品は発売後、中国での発行部数は100万冊以上、英語版の発行部数は11万冊以上に達し、中国銀河賞、ネビュラ賞、ヒューゴー賞長編小説部門賞などを受賞した。米国のオバマ元大統領やフェイスブックの創始者のマーク・エリオット・ザッカーバーグ氏、中国の小米の創始者の雷軍氏なども同作品を大絶賛した。復旦大学(上海)中国語学部の厳峰教授は、同小説を読み終えた後、「『三体』と『三体Ⅱ・黒暗森林』を読み、作者は中国のSF文学を世界レベルにまで引き上げてくれたと確信した」と高揚気味に語った。
「三体」はスケールが壮大で、単なるSF小説という枠を超えて、社会学や哲学などの領域でも、広く話題となった傑作だ。そして、登場する「黒暗森林」や「異星人の侵略」といった理論が様々な分野に次々と引用された。
人気小説のドラマ化に力を入れているアマゾンはこのほど、2億5000万ドル(約262億円)で、ファンタジー小説の巨編で映画にもなった「ロード・オブ・ザ・リング」(指輪物語)のテレビ映像化の権利を取得した。今回、「三体」のドラマ化を計画しているのも、同作品が世界的に影響力を持っていることにアマゾンが目を付けたからだ。ただ、「三体」は欧米では「ロード・オブ・ザ・リング」ほどの知名度はなく、製作の難度も高いため、アマゾンと、著作権を有する上海游族文化伝媒との交渉がどうなるかはまだ分からない。ある「三体」のファンは、「ケーブルテレビ放送局のHBOか動画配信サイトのネットフリックスが製作するならいいのに」と書き込み、それに対して別のファンは、「あまり高い要求をしてはいけない。アマゾンが本当に製作してくれれば感謝するわ。このニュースがフェイクでないことだけを祈る」とコメントしている。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年3月28日
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