世界貿易機関(WTO)加盟から今年12月11日で15周年を迎える中国がこの枠組みの中で「市場経済国の地位」を獲得するのはごく当然のことといえる。だが保護主義の台頭といった要因に影響されて、欧州連合(EU)、米国、日本の公式見解や一部の商業団体は中国がこうした待遇を獲得することに反対するよう呼びかけ、多くの産業で懲罰的関税措置を適用する準備が進められている。
グローバル経済が緩やかに回復する過程で、世界の貿易状況はますます悪化し、欧米のトップを選ぶ選挙が引き起こした政治的動揺が保護貿易ムードを強め、貿易戦争のリスクすら引き起こしている。中国は保護貿易の「被害者」だが、グローバル化や貿易利便化を推進する歩みを少しもゆるめることはなく、中国が積極的に関わる自由貿易圏(FTA)の構築は多くの国から期待を寄せられている。
世界貿易機関(WTO)の世界貿易警告(グローバル・トレード・アラート)データをみると、保護貿易主義の措置は2015年にピークに足し、貿易自由化措置との比率は3対1になったという。15年には各国が打ち出した貿易制限措置の数は前年比50%以上増加し、10年以降、各国は毎年1~4カ月の間に50から100の貿易制限措置を打ち出したが、16年1~4月には、150もの制限措置を打ち出しており、貿易情勢が厳しさを増している様子が明らかになった。
注目されるのは、世界で行われる貿易救済措置の3分の1が中国を直接の対象としていることだ。商務部(商務省)によると、中国はこれまでずっと貿易救済調査の主要ターゲット国で、21年連続で世界でダンピング調査を最も多く発動された国となり、10年連続で世界で反補助金調査を最も多く発動された国にもなり、これによる損失額は毎年数百億ドル(1ドルは約114.4円)に達する。
欧米が対中貿易に引き続き圧力をかけるよう呼びかけるが、保護貿易に駆り立てられた行為の下に勝者はいない。
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