まもなくFIFAワールドカップ(W杯)の光がロシアの大地を照らし、世界中の熱烈なサポーターが狂喜乱舞する4年に1度の祭典が始まる。フィールドで誰が名を成し、誰がMVPに選ばれ、そしてどのチームが7戦を勝ち抜くのか。こうした疑問に対する答えはすべて、これから1ヶ月ほどの間に一つずつ明らかになっていくことになる。新華社が伝えた。
(1)開催国の勝算は?
過去2大会において、開催国の成績はいずれも期待通りとはいかなかった。南アフリカ共和国は決勝トーナメントに進出できなかった初の開催国という結果となり、2014年大会の開催国ブラジルは、優勝という母国の期待とはかけ離れた結果に終わっただけでなく、ホームグラウンドで屈辱的な敗戦を繰り返す結果となった。今大会の開催国ロシアのここ数年における成績を見る限り、やや不安を抱かざるを得ない。ロシアのグループリーグには飛び抜けて強豪なチームはいないとはいえ、ウルグアイやエジプトとの対戦でのロシアの勝算は、それほど大きくはない。
ロシア代表チームそのもののパフォーマンスだけでなく、ロシアが今大会を大成功に導くことができるかどうかという点についても試練が待ち受けていると言える。一連の騒動を経験し、ロシアの大会運営能力には疑問の声が多く上がっている。スタジアムや交通、安全保障、ホスピタリティなどさまざまな問題に対して、果たしてロシアはどんな答えを出すのだろうか?
(2)VARの導入はプラスとなるか?それとも混乱を招くか?
4年前、W杯にゴールライン・テクノロジー(ゴール機械判定技術、GLT)が導入された。FIFA(国際サッカー連盟)は今年3月、W杯にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)制度を採用することを決定した。そして今年3月、国際サッカー連盟はロシア大会からVARを導入することを正式に決定。VARはすでにコンフェデ杯、セリエA、中国プレミアリーグなどさまざまな大会・リーグで導入されているが、同技術に対する各方面の評価はまちまちだ。
VARが「冤罪」の発生を減らすことは間違いないが、同時に弊害が起きることも否定できない。瞬時に反則の有無を判定できるGLTとは違い、VARによる判定には時間がかかる。主審が試合を中断して録画に見入るような事態になれば、試合の流れが大きく損なわれる。VARをどのようなタイミングで使うのか?実際どのように使うのか?使用頻度をどうやって把握するのか?これらの問題をきちんと処理できないのであれば、試合後、VARがサポーターから「一斉攻撃」を受けることは目に見えている。
(3)メッシVSロナウド
ラ・リガからUEFAチャンピオンズリーグまで、クラブチームから国の代表チームまで、スタジアムの内から外まで、リオネル・メッシ選手とクリスティアーノ・ロナウド選手に比肩する選手はいないといっても過言ではない。今大会での両選手の活躍ぶりが注目されるのは間違いがない。現在、最も実力あるスター選手として、メッシとロナウドのW杯での戦歴は、非常によく似ている。2人とも初出場は2006年大会で、総ゴール数はいずれも5ゴールを上回らず、優勝経験もない。そして2人とも、今回が最後のW杯となる可能性が高い。
今回メッシが栄冠を手にすれば、本当の意味でマラドーナと肩を並べることになる。一方、ロナウドが王座につけば、サッカー選手としてのキャリアを完全なものとすることができる。試合日程によると、アルゼンチンとポルトガルがいずれもグループリーグで好成績を残し、ベスト16に進出すれば、2人は準々決勝で対戦する可能性がある。そうでない場合は、決勝での対決となる。
(4)誰が「名を成す」か?
歴代のW杯大会は、選手が自分を表現する舞台であるとも言える。メッシやロナウドなどの超大物選手は、知名度を上げるのに、この4年に1度の舞台は特に必要ではなかったが、他の多くの選手にとって、W杯は、自分の夢を実現するための近道なのだ。フランク・リベリー、メスト・エジル、ルイス・アルベルト・スアレスといった選手たちはいずれも、W杯に出場したことで初めて、世界中の人々から喝さいを浴びた。
W杯をきっかけに華麗な転身を遂げた選手には、2種類のタイプがある。たとえば、ハメス・ロドリゲスやポール・ポグバのように、出場当時少し名前が知られていた程度の選手は、大会後、スーパースターとして人気が一気に爆発した。一方、ケイラー・ナバスやクラウディオ・ブラーボのような選手は、大会前は全く無名だったが、W杯での活躍によってたちまち世界トップクラスのクラブの「中心的存在」に転身した。今大会でも、多くの選手が初出場となるが、彼らのうち一体誰が、名門フットボールクラブの「ドアを叩く」ことができるのだろうか?
(5)優勝は南米チーム?それとも欧州?
ここ数年のW杯は、欧州のチームが強さを発揮し、3大会連続で栄冠を手にしている。前大会ではドイツが優勝し、南米で開催された大会で欧州のチームが初めて優勝した。今大会では、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、ペルーの各チームが、南米サッカーの栄光を再び取り戻すという使命を担っている。
「南米5強」のうち、筆頭はやはりブラジルチームだ。4年前のやや「庶民」っぽい「サンバチーム」と比べ、今回は、トップ選手ネイマールの周囲には、フィリペ・コウチーニョ、ガブリエル・ジェズス、カゼミーロなど頼りがいのある選手が脇を固めている。1958年のスウェーデン大会でブラジルはW杯初優勝を果たした。その60年後、欧州制覇を企てる「五つ星ブラジル」が果たして栄冠を手に入れることができるのだろうか?
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