中国第9回北極科学観測隊は5日、チュクチ海で各種科学観測作業を行っていた。極地観測船「雪竜号」が北緯77度付近に到達し、通信連絡が不便であることから、記者は外界とのリアルタイムの連絡が困難になっている。しかし「今年の北極は本当に暑いのか」という質問が、各方面から次々と寄せられている。新華社が伝えた。
記者はこうした質問が寄せられて初めて、世界各地でこのほど高温が記録されており、北極圏内の陸地の都市もそうした高温の天気の影響を受けていることを知った。しかし記者の経験からすると、北極は決して暑いとはいえない。
北極圏に入り2日目、雪竜号はまばらに浮かぶ海氷に遭遇した。科学観測隊が北に向かうにつれ、海氷の密度も高まっていった。砕氷モードに切り替えた雪竜号は分厚い氷を突き破り、道を切り開く必要に迫られた。
体感気温もそれに伴い氷点下に達した。船員は船室を出るたびに、俗に「ペンギン服」と呼ばれる分厚い屋外作業服を着用し、さらに帽子、マフラー、手袋などを着用しなければならない。
「中国第9回北極観測の沿線エリアを見るかぎり、流氷エリアに入ると気温はマイナス0−3度を維持しており、これまでの北極観測と比べ異常は見られない」という科学観測隊首席科学者補佐で中国極地研究センター研究員の雷瑞波氏の観測が記者の印象を裏付けている。
北極圏で高温になりながら、北極の観測隊がそれを実感していないのはなぜだろうか。観測隊員で中国国家海洋環境予報センター上席エンジニアの宋暁姜氏は、「先ごろ北欧の陸地で30度以上に達したという報道があったが、この気象を形成する原因は複雑であり、局地性である可能性が高い」と話した。
宋氏は、「天気とは1日あたりの尺度で測られるものであり、気候という尺度と比べると非常に小さく、短い。世界的な気候変動と、北極海の海氷が徐々に減少していることは、現在の科学界で広く認められている現象だ。しかし気候システムは非常に複雑であり、異常な天気が生じたからといって気候システムに異常が生じているとは限らず、多くの資料を使い分析・研究する必要がある」と指摘した。
宋氏は、「これは北極科学観測を展開する意義でもある。より多くの謎を明らかにし、北極と我々の故郷をより良く保護していくことができる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年8月6日
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