ここしばらくの間、米国のトランプ大統領の対日貿易赤字削減の要求に応えるため、日米間の貿易協議メカニズムが次々に打ち出されているが、問題の解決という点では少しも進展がみられない。日本政府は米国の圧力を受け、国内では農家の抵抗に遭い、国会にも牽制されて、妥協の余地が少なく、話し合ううちに状況が変わるのを待つというのが日本の変わらぬ戦略だ。今後の日米貿易交渉も引き続き「茨の道」になることが予想される。「経済日報」が伝えた。
このほど国連総会に出席した日本の安倍晋三首相とトランプ大統領は米ニューヨークで首脳会談を行い、話し合われた重点的議題は最大の争点である貿易不均衡問題だった。会談後に発表された共同声明によると、双方は日米物品貿易協定(TAG)の調印に向けて新たな交渉をスタートすることで合意したという。ここしばらく、日米間にはさまざまな交渉メカニズムが登場しているが、問題解決に向けた進展はみられない。
日本は米国にとって3番目の貿易赤字相手国であり、2017年の対日貿易赤字は688億ドル(約7兆7957億円)に上った。トランプ大統領の赤字削減の要求に応えるため、日米貿易協議メカニズムが次々打ち出されているが、問題は解決に向けて進展していない。昨年には米国のペンス副大統領と日本の麻生太郎副総理が日米経済対話を開催し、今年上半期には米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と日本の茂木敏充経済再生担当大臣が新たな貿易交渉をスタートしたが、どちらも成果は上がっていない。すぐにも成果がほしいトランプ大統領は物品貿易に絞って交渉を要求し、できるだけ早く新協定に調印することも要求した。だがこのたびの首脳会談で、日米はそれぞれ防衛ラインを設定しており、ここから今後の交渉の困難さが予想される。
共同声明を詳しく読み解くと、日米双方は具体的な手段により両国間の貿易、投資を拡大し、世界経済の「自由で公平で開放的な」発展を促進することで同意したが、米国はTAGの交渉・調印を要求しており、すぐにも結果を出したい様子がうかがえる。特に米国は共同声明に「米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」という一文を加えており、ここからトランプ政権が中間選挙を前にして対日交渉で功を急ぐ姿が浮き彫りになった。
日本は共同声明に「日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること」という一文を加えた。これが意味するのは、環太平洋経済連携協定(TPP)で約束した内容が日本の対米交渉の譲歩ラインだということだ。だがトランプ政権はTPPの合意内容に不満だから離脱したのであり、大統領自身、「二国間交渉でなければ米国の利益は保障されない」と繰り返し述べている。対日交渉で日本からより大きな譲歩を勝ち取りたいという米国の思惑は明らかだ。
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