前回USBメモリーを使ったのはいつのことだろうか?大学生の卒業論文やプログラマーのプログラミング資料、オタクのお気に入りのアニメなど、かつてはたくさんの「秘密」がUSBメモリーに保存され、多くの人にとってそれはまるで思い出の拠り所のような存在だった。中国新聞網が報じた。
景品などに使われることが多くなった現在のUSBメモリー(撮影:泱波)。
USBメモリーに詰まった思い出
USBメモリーのデメリットというと、紛失とウイルス感染、そして文字化けの3つだ。「中学生の時から最近まで使っていたUSBメモリーを紛失してしまった。中にはこれまで少しずつ貯めてきた写真や動画が入っていたのに。でも、どうしても見つからない」といったように、USBメモリーを使ったことがある人ならそのうちの一つは必ず経験したことがあるに違いない。
そして資料の保存という本来の使命だけでなく、USBメモリーには、「思い出」の保存というもう一つの使命もある。例えば、中学や高校など青臭かった時代の思い出、ギラギラしていた大学時代の思い出、社会に出て就職したばかりのころに作成した報告書などだ。
USBメモリーに残された「思い出」の数々(サイトのスクリーンショット)。
USBメモリーの黄金時代とその衰退
思い出はいつでも美しいものだ。USBメモリーは現在すでにあまり使われなくなっているという点は、疑う余地のない事実だと言えるだろう。
USBメモリーはUSBを用いてパソコンに接続してデータの読み書きを行う補助記憶装置で、単体で動作する。
テクノロジー感ある名前のUSBメモリーだが名実ともに「メイド・イン・チャイナ」だ。1999年、朗科科技の創始者・鄧国順氏と成暁華氏が共同で、世界初のUSBメモリーを開発し、中国のコンピューター分野の発明特許の空白を埋めた。
その後、USBメモリーは小さくて持ち運びができ、多くのデータを保存できる商品の代名詞となった。
ネットユーザーが以前使っていたUSBメモリー(画像はネットユーザー提供)。
80後(1980年代生まれ)の第一陣が社会に出て就職し、90後(90年代生まれ)が授業をさぼりネットカフェに入り浸っていた2005年は、USBメモリーにとって最も輝かしい年となった。この年、SKハイニックスやマイクロン・テクノロジー、キングストンテクノロジーなどのUSBメモリーブランドを多くの人が知ることになった。
市場の爆発的な成長をうけ、USBメモリーの容量は8Mから128M、256M、512M、1G、2G、4G、8G、16G、さらには32G、64G、128G、256G、512G、1Tへと大きくなってきた。
データを保存するだけでなく、USBメモリーは、宣伝のための景品に使われたり、防水型のものが販売されるようになったほか、外観も、金属や竹、木でできたもののほか、カバーの中に液体が入ったUSBメモリーなども登場するようになった。
しかしこうした変化は、応用分野や外観の材質、形態などの変化であって、USB自体に変化が生じたというわけではなかった。
USBメモリーはもはや「過去の遺物」?
そしてインターネットの発展にともない、クラウド・ストレージがUSBメモリーに取って代わるようになっていった。
クラウド・ストレージの普及にともない、USBメモリーは「景品」に
紛失しやすいというのがUSBメモリーのデメリット。そのためクラウド・ストレージが流行する現代、USBメモリーは「景品」や「アクセサリー」へとその地位を落とし、データのやり取りは、USBメモリーを使って「コピー・ペースト」する時代から、ネット上に「アップ・ダウンロード」する時代へと変わった。
クラウド・ストレージの概念は2005年に提起され、個人がクラウド・ストレージを利用できるようになったのは、12年にキングソフトが100Gの無料オンラインストレージサービスを提供するようになったのが最初で、その後、中国の360や百度などもクラウド・ストレージ分野に進出した。
時空の制限のないクラウド・ストレージなら、USBメモリーのように紛失して探し回ったりする必要はなく、思い出が全部消えてしまうといった悲劇も起こらない。
百度クラウド・ストレージ(撮影:姚露)。
このように現在、「リソースを求め」て、「クラウド・ストレージで共有する」という、新たな情報交換スタイルが生まれた。
しかし、プログラマーの于林さんは、「情報をクラウド・ストレージに保存することは、本当に安全なのだろうか」と感じている。
個人情報や資料などは、自分の手元にあるのが一番安全だというのが于さんの考えで、「ビッグデータ時代の今、私たちは全裸で歩いているようなもの。プライベートとパブリックの境界が非常に曖昧で、その境界とはそれを自分自身が気にするかしないかだけ」と話す。
このようにクラウド・ストレージは、「安全でない」と感じ、USBメモリーを再び思い出して使うようになっている人も多い。
于林さんの「データセンター」(画像は于さん提供)。
「思い出を永遠に」。これはキングストンテクノロジーが2013年に打ち出したキャッチコピー。USBメモリーに入っているあなたの「思い出」はまだ残っているだろうか?(編集KN)
「人民網日本語版」2018年11月27日
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