中国大陸部外初の人民元対現地通貨取引の自律的金融組織「フィリピン人民元取引事業者協会」が10月30日に正式に発足した。人民元とフィリピンペソの直接両替が実現することを意味する。中日両国の中央銀行が先日二国間通貨交換(スワップ)協定を再開し、規模を2000億元に拡大したのに続く、近隣諸国での人民元国際化の重要な一歩だ。国際金融市場で不安定化要因が増える中、人民元国際化の着実な推進が、国際金融システムにプラスのエネルギーを与え続けることは間違いない。(人民日報「鐘声」国際論評)
人民元に信任票を投じる国が増えているのは誰の目にも明らかだ。フランス中央銀行が人民元資産を外貨準備に組み入れたことを表明しただけでなく、ベルギーとスロバキアの中央銀行も人民元資産の保有を明らかにし、ドイツ、スペイン、スイスの中央銀行も人民元投資の列に加わる意向を表明している。米石英財経雑誌(Quartz)は、欧州中央銀行による人民元外貨準備の増加によって「世界は国際金融システムにおいて日増しに際立つ中国の影響力を再び目にした」と指摘した。
人民元国際化の歩みは揺るぎなく、貿易、投融資、準備通貨の方向へ邁進し続けている。2009年の人民元建て貿易決済試行事業から始まり、人民元の国境を跨ぐ使用は次第に直接投資さらにはほぼ全ての経常事業にまで拡大し、すでに世界第5の支払通貨、第3の貿易融資通貨、第5の外国為替取引通貨となっている。今年6月時点で、すでに60余りの国・地域が人民元を外貨準備に組み入れた。国際通貨基金(IMF)の最新統計では、今年第2四半期時点で全世界の外貨準備に占める人民元の割合は1.84%にまで高まり、1933億8000万ドルに達した。仏フィガロは「世界の外貨準備における人民元の地位上昇は、各国の外貨準備多元化に確かな選択を与えた」と報じた。
中国経済の質の高い方向への発展は、人民元の国際化に絶えることのない原動力を与えている。外部環境には深い変化が生じているが、急速な成長の段階から質の高い段階への発展という中国経済の大勢に変化はない。中国経済の着実な成長は人民元の国際化にとって最も重要な基礎と柱であり、これを推進する根本的原動力でもある。
現在、人民元の国際的地位は世界経済または世界貿易に占める中国の割合に遥かに及ばない。中国経済は世界のGDPの15%を占め、中国は世界の貿易総額の約12%を占めるが、国際決済における人民元の割合は2%にもならない。人民元の国際化にはまだ大きな余地がある。中国には人民元の国際化を推し進める強く揺るぎない意志がある。昨年7月の中央財経指導グループ第16回会議で、習近平総書記は「金融業の対外開放は中国の対外開放の重要方面である」と指摘。資本項目の開放を秩序良く推し進め、人民元の国際化を着実に推進する必要性を強調した。今年1月初めに中国人民銀行は「人民元クロスボーダー業務をさらに整備し、貿易と投資の円滑化を促進する事に関する通達」を出し、人民元クロスボーダー業務が「実体経済に寄与し、貿易と投資の円滑化を促進する」との方向性を堅持し、人民元クロスボーダー業務政策の整備に力を入れ、貿易と投資の円滑化を促進し、中国大陸部外市場における人民元の流動性を改善するとした。今年4月のボアオ・アジアフォーラム年次総会で、中国は金融市場参入の大幅な緩和を含む開放拡大の重大措置を世界に宣言した。
「一帯一路」建設などの国際協力が現在、人民元の国際化に新たな空間をもたらし続けている。現在、人民元クロスボーダー決済システムはすでに国内外の参加者のクロスボーダー人民元業務に資金清算・決算サービスを提供し、国際基準に符合する重要な金融インフラとなり、人民元の全世界での使用にとって重要な保障及び支えとなり、金融市場のクロスボーダー・コネクティビティを積極的に支えている。国際市場で人民元が一層重視されるようになっている現実は、世界が中国経済の持続的好転を一致して信じ、人民元国際化の穏健な発展を認め、中国経済が世界経済に新たな原動力を与え続ける将来への期待に満ちていることを十分に物語っている。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年11月1日
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