日産自動車は22日に取締役会を開き、「金融商品取引法」に違反した疑いのあるカルロス・ゴーン容疑者の会長職を解き、西川廣人社長兼CEOが会長を兼務することになった。またグレッグ・ケリー容疑者の代表職も解かれた。
報酬過少申告と会社資金の私的流用といった金銭をめぐる問題により、東京地検特捜部は今月19日にゴーン容疑者と腹心のケリー容疑者を同時に逮捕した。
ゴーン容疑者は解任前、ルノーと日産、三菱自動車の会長、ルノーのCEOを兼任していた。ルノーが1999年に日産に出資すると、ゴーン容疑者が日産に加わり、改革の大鉈を振るい日産を経営危機から救った。またゴーン容疑者の働きかけにより、ルノー・日産・三菱アライアンスを結成。その世界自動車販売台数はトヨタとVWに比肩する。ゴーン容疑者の逮捕と解任は、同アライアンスの今後を不確実にするとの分析がある。
西川氏とルノーのティエリー・ボロレCEO、三菱自動車の益子修CEOは、「経営の父」であるゴーン容疑者のような力強いリーダーシップを持たないため、空白を補えないと見る向きは多い。
フランス政府はルノーの株式15%、ルノーは日産の43.4%を、日産はルノーの15%を保有している。両社の地位は対等とはいえ、フランスの法律により日産が保有するルノー株には投票権がない。また日産の時価総額は、ルノーの2倍弱にのぼる。日産は先ごろ、ルノーとの関係は不公平であり、独自経営が発展の根本であると認めていた。これはゴーン容疑者が近年模索してきたルノーと日産の経営一体化と相矛盾している。
業界関係者は、ゴーン容疑者の解任は日産とルノーが提携関係を再構築するチャンスだと述べた。日産はルノーに出資比率の引き下げを求める可能性がある。
また日産はルノー容疑者の当時のやり方の一部に不満を抱いている。22日の取締役会で、日産は社外取締役を中心とする企業管理委員会を設立し、取締役の構成や報酬などの徹底的な改革を行うことを決定した。
みずほ総合研究所の長谷川克之チーフエコノミストは取材に対し、「上場企業の取締役の報酬は株価と連動しており、一部の取締役は買い戻しにより投資家からの信頼を強化し、さらには借金や債券発行も辞さない。これは株主の収益のためであり、企業の成長を促す分野に投資することはない。長期的に見ると、このやり方は企業の発展のメリットにならず、監督管理が困難だ。ゴーン容疑者の逮捕は、類似する問題を露呈した」と指摘した。
多くのアナリストは、ゴーン容疑者の解任は企業の不透明な経営体制にメスを入れたと見ている。しかしこれが投資家と消費者の日産への信頼をどの程度取り戻すかについては、今後の経過を見守る必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年11月27日
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